乗客家族「明るい未来が待ってるはずだった」桂田精一社長は曖昧な証言繰り返す 知床遊覧船事故
北海道・知床沖で遊覧船が沈没した事故をめぐり、乗客の家族らが損害賠償を求めている裁判で2026年6月9日、桂田精一社長が裁判所に出廷しました。
争点となっている出航判断などを問われ、あいまいな受け答えをする場面もみられました。
(西郷記者)「たったいま、被告の桂田精一社長が姿を現しました」
スーツ姿で札幌地裁に入ったのは、知床遊覧船の桂田精一社長です。
2025年3月の初弁論に続き、2度目の出廷となりました。
この裁判は2022年、知床沖で遊覧船が沈没し、26人が死亡・行方不明となった事故で、乗客の家族ら33人が被告の桂田社長と運航会社に対し、およそ15億円の損害賠償を求めています。
桂田社長の出航判断に過失があったかどうかが争点で、6月9日の口頭弁論では桂田社長の尋問が行われました。
(桂田社長)「大変な事故を起こしてしまい、重く受け止めています。正直にここで話したいと思います」
尋問の冒頭で、こう述べた桂田社長。
その後、争点となっている出航判断について問われました。
(被告側の弁護士)「(当日午前)波浪注意報を聞いてどう思った?」
(桂田社長)「もちろん参考にはしました」
(被告側の弁護士)「欠航の判断はしなかったのか?」
(桂田社長)「知床の広域の予報であって、すぐに現実的にあらわれるわけではない。船長も荒れる前に戻ってくると言っていた」
これまで桂田社長は海が荒れたら途中で引き返す「条件付き運航」を決めていたと主張しています。
しかし、5月の裁判に出廷した運航会社の元従業員はそうした条件付き運航の指示は「受けていなかった」と証言。双方の主張は食い違ったままです。
そして、6月9日午後から始まった原告側の弁護士による尋問では、桂田社長の受け答えが一転しました。
(原告側の弁護士)「なぜ岬まで行った?」
(桂田社長)「心当たりは全くありません」
(原告側の弁護士)「必ずルシャ湾コースで戻ってこいと伝えたか?」
(桂田社長)「そのへんは覚えていないです」
核心についてあいまいな証言を繰り返しました。
その後、乗客家族の尋問も行われ、事故後の心情を述べました。
(乗客家族)「息子には明るく楽しい未来が待ってるはずだった。お父さん、こんなに温かい風呂に入って、ごめんなと思っています」
この事故をめぐっては桂田社長が業務上過失致死の罪に問われている刑事裁判もあり、その判決は6月17日に言い渡されます。