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価格は去年の1.5倍…ジャガイモに異変 猛暑・大雨で収穫量減少か 生産量日本一の北海道

日本一の生産量を誇る北海道の「ジャガイモ」。

涼しい気候が適している作物ですが、猛暑や大雨の影響が影を落としています。

収穫期を迎えたジャガイモの異変を取材しました。

油でカラッと揚げたフライドポテト。

ホクホクとした食感がうれしいコロッケ。

実りの秋、ジャガイモがおいしい季節をむかえました。

大きなジャガイモが目印、七飯町の観光施設です。

実は、七飯町は男爵いも発祥の地。

店内にはジャガイモを使ったスナック菓子などが所狭しと並んでいます。

中には行列ができていた売り場もー

お目当ては、すぐに味わえるフライドポテトやコロッケです。

(観光客)「味わい深い、甘くてホクホク」

(観光客)「むちゃくちゃおいしいです」

(男爵ラウンジ 斉藤将嗣支配人)「フレッシュな新じゃがが出てまいりますので、新じゃがのさわやかな風味も楽しみながら、男爵いも本来のホクホク感も味わっていただければと思います」

価格が去年の1.5倍に…“高値安定”の状態

函館市内の青果店です。

店頭に並ぶのは、森町や七飯町など道南地方でとれた新じゃがです。

2025年のできを聞いてみるとー

(かね万むさしや本店 上田真也営業部長)「ことしの天気の影響が出ましたね。価格は高くなっていて去年の1.5倍くらい。高値安定が続くと思います」

秋の味覚に一体何があったのでしょうか?

春の雨、夏の高温と干ばつでジャガイモが大きく成長せず…

向かったのは道南のせたな町です。

ジャガイモを収穫するのは農家の髙松利彰さん。

畑から出てきたイモは「きたかむい」という品種です。

煮崩れしにくいと評判のジャガイモです。

(髙松利彰さん)「普段ですとLサイズが中心で、これより大きい2Lサイズが出てくるんですけど、ことしはSサイズが目立ちますね」

片手に4つも乗る小さなサイズが目につきます。

(髙松利彰さん)「種まきの時期、4月くらいに長雨が続いて、なかなか蒔きつけが上手くいかなかった。7月後半から8月お盆前までの高温・干ばつで肥大期に水分がほしかったのにもらえなかったのが、大きくできなかった要因なのかなと思っています」

春先の長雨で植え付けが遅れたことに加え、夏の気温が平年より2~3℃高く、ジャガイモが大きく育ちませんでした。

収穫量は2割ほど減るとみられています。

影響はほかの品種にも。

(髙松利彰さん)「茎が大きくならなくて、葉っぱがつかなかったから、どんどん草が出ちゃって」

うねには雑草が…掘り返してみると変形したイモばかり

クリのような甘さが人気の品種「インカのめざめ」。

その畑を見ると、うまく育たなかったため、うねを覆うように雑草が生えてしまっています。

土を掘ってみると…

(髙松利彰さん)「変形だ、これも変形だ、ないですね、豆粒ばっかり」

小さなイモばかりです。

(髙松利彰さん)「豆粒なのと、こんな形ですもんね、完全に2次成長ですね」

干ばつに8月の大雨で起きた「2次成長」という現象。

変形してしまったイモは出荷することができません。

この中で唯一出荷できるのは左端のイモだけ。

例年10トンほど収穫があるインカのめざめも、2025年は3トン程度と大きく減る見込みです。

(髙松利彰さん)「もともとたくさんとれる品種ではないので、消費と生産量が釣り合っていない品種なので、ことしは貴重なイモになるんじゃないかと思いますね」

気候の影響はあのブランドジャガイモにも。

“幻のジャガイモ”にも影響…さらに気象に

流通量が少なく幻のジャガイモとも言われる「今金男しゃく」です。

ホクホクとして甘味が強く、産地の今金町ではボリューム満点のコロッケやチーズを使ったオーブン焼きなどが提供されています。

長年、今金男しゃくを生産してきた鈴木一雄さん。

気候の大きな変化に戸惑いを隠せません。

(鈴木一雄さん)「特に夜温が下がることがいい馬鈴薯がとれる一番の条件なんですが、ことしは夜温が高くて、でんぷんが蓄積しない状況になり、大きさも小さくなってしまった」

9月も雨続きで、収穫作業はおよそ1か月も遅れているということです。

その遅れが原因で、収穫後に予定していた秋まき小麦の栽培は中止を余儀なくされました。

(鈴木一雄さん)「今できるのは来年別な作物を作るため堆肥をまく。もう気候が悪いのは取り返せないので」

幻のジャガイモと言われる希少な「今金男しゃく」。

収穫量は3割ほど減るとみられ、文字通り、幻のジャガイモになってしまうかもしれません。

(今金町農協 尊保知之課長補佐)「雨は降ったら水がたまりますし、晴れたら高温になって障害をうけたりしやすくなりますので、そこは生産者の努力ではどうしようもない」

形は悪くても人気は変わらず!100円詰め放題は大盛況

巨大な鍋からあげられたのは直径およそ2メートルのジャンボコロッケ。

道南の厚沢部町で開かれた秋の収穫を楽しむイベントです。

中でも多くの人でにぎわっていたのが、厚沢部発祥の品種・メークインの詰め放題。

しかし、イモをよく見ると、ほかの地域と同じく猛暑や雨の影響で変形したメークインが数多くありました。

それでも袋いっぱいに詰めて楽しんでいたようです。

(札幌から来た人)「すごい安くていい。札幌では買えないのでありがたいです。カレーとかポトフとかにしたいです」

(新函館農協厚沢部営農センター 三浦洋センター長)「形は悪いですけど、しっかりでんぷんも乗っていておいしいイモになっていますので、好きな料理で楽しんでいただければと思います。来年は良い年になるでしょうねという希望をもってやっています」

涼しい気候が育んできた北海道発祥のジャガイモ。

しかし、生産現場では大きく変化する気候の影響に悩まされています。

10/11(土) 07:52

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