北海道弟子屈町の川湯温泉にリゾート施設の整備を計画していた星野リゾートが、事業撤退の方針を固め、町に伝えていたことがわかりました。

先ほど会合が開かれ、今後も事業推進に向けて協議を継続していくことで合意しました。

白い噴煙をあげる硫黄山。

日本でも数少ない火山性特有の泉質を楽しめるのが、道東・弟子屈町の川湯温泉です。

川湯温泉は１９９１年には年間５６万人の宿泊客が訪れた、道東の観光名所の１つでした。

しかしその後、客足は低迷しホテルが次々と廃墟化。

町は環境省のプロジェクトを利用して国費でホテルを解体し、再生に乗り出しました。

そのホテル跡地への進出に名乗りを上げたのが星野リゾートです。

２０２６年に川湯温泉に高級旅館「界」ブランド開業の計画を進めていました。

（武田記者）「温泉の川が流れるこちらの土地が、星野リゾートが旅館を建設する予定地となっています。この広大な土地の行く末がいま宙に浮きそうな状態になっています」

国有地と周辺の町有地を合わせた広大な予定地への星野リゾートの進出に合わせ、町は温泉街活性化を目指す「マスタープラン」を策定。

マチなかで温泉が流れる「湯の川」に水着で入れる温浴体験施設や、屋台村の整備などを盛り込みました。

しかし、ここにきて星野リゾートが事業から撤退する意向を町に伝えてきたということです。

地元では驚きと戸惑いの声が聞かれました。

（地元の人）「いやわかんないです、寝耳に水。廃れていく温泉街っていうところからの脱却は正直したいですね」

（地元の人）「ごたごたし過ぎだ」

（武田記者）「弟子屈町の徳永町長がいま協議会の会場へと入ります」

町と環境省は午後２時から町内で３者会合を開きました。

星野リゾートは町の事業推進体制の不備を理由に一度は撤退を決めたものの、今後も事業推進に向けて協議を継続していくことで合意したということです。

そもそも弟子屈町の川湯温泉とはどんな場所なのでしょうか。

・数少ない火山性特有の泉質で、療養泉として古くから親しまれています。

・宿泊者数は１９９１年にピークを迎え５６万人でしたが、ここ数年ではおよそ６万人にまで落ち込みました。

そんな中、活性化の起爆剤として期待されていたのが今回のプロジェクトでした。

・そもそもは国が、国内外の観光客の誘致を目指して２０１６年に始めた「国立公園満喫プロジェクト」の一環でした。

・国がプロジェクトに参加する宿舎事業者を公募し「星野リゾート」が応募。２０２６年の開業を予定していました。

・星野リゾートのホテル開業を含めた川湯温泉の再生に向け、町では２０２０年頃から廃ホテルの解体や、星野リゾートの建設予定地だった土地の整備を開始。

国と町は合わせて３０億を超える出資をしたということです。

・今後については、先ほどの会合を受け、３者で協議を継続することで合意したということです。

いずれにせよ建設予定の場所は現在更地の状態。

星野リゾートが撤退になってもならなくても、川湯温泉の再生に向けて対応がいそがれます。