原因は“運転士不足” 平日の運行本数減便…ネーミングライツ収入で待遇改善へ 札幌・路面電車
札幌の路面電車は5月1日から平日の運行本数が減便となりました。
その理由は運転士不足です。
運転士を確保するため待遇を改善しようと対策が始まっています。
(藤得記者)「きょうから減便が始まる札幌市の路面電車ですが、利用者にはどの程度影響があるのでしょうか」
5月1日から実施のダイヤ改正で、路面電車の平日の運行本数は当面の間、1日20便程度減便されます。
各時間帯で1本から2本の減便となり、運行間隔も1分から2分延びることになります。
減便となった1日の様子を見てみるとー
(藤得記者)「電車を待つ人の列はできていますが、あまり変わらないような気もしますね」
路面電車の1日の利用者数はおよそ2万5千人に上りますが、減便前の4月30日と比べると、取材した午前8時半頃は大きな変化や混乱は見られませんでした。
(藤得記者)「きょうから路面電車が減便になると知っていましたか?」
(利用者)「知らなかったです。そんなにいつもとは変わらなかったですけどね」
(藤得記者)「電車来ないなと感じましたか?」
(利用者)「ちょっと感じました。きょうはちょっと(間隔が)長いなとは思いました」
一方で、こんな懸念の声も聞かれました。
(札幌市民)「たまに乗るとすごく混んでいる印象があるので、さらにもっと混雑しちゃうのかなと」
減便となった理由は運転士不足です。
(札幌市交通事業振興公社 平田俊之路面電車部長)「必要な人数を73人と設定していますが、現状63人ということで10人の不足がいま発生している状況です。今回の減便によって運転士の負担というのが少しでも軽減されればというねらい」
必要な運転士の数より10人不足しているという現状。
採用を増やすためにも求められるのが待遇の改善です。
(藤得記者)「そんな中、本格的に導入が始まったのがネーミングライツのサービスです。こちらにはあの水族館の名前が書いてあります」
停留場に施設名などを追加する「ネーミングライツ」です。
さらにはこんなサービスもー
(車内アナウンス)「次は狸小路、狸小路、AOAO SAPPORO前です」
施設や企業名が車内放送でも流れます。
2024年度から試験的に開始し、2025年度新たに15の停留場で募集を始めました。
広告料金は年間26万4千円から66万円で、2025年度の枠が決まれば800万円程度の収入が見込めるといいます。
(札幌市交通事業振興公社 佐藤聖隆軌道事業係長)「運転士の待遇改善や施設の維持管理にかかるお金として使わせていただこうかなと思っております」
広告収入で運転士の待遇改善と運転士確保につなげ、早期の減便解消を目指す考えです。
いま深刻な社会問題となっている人手不足。
あの手この手の工夫でその危機を乗り越えようとしています。