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新米流通も価格逆戻り「生活費を切り崩して買う」背景に“集荷競争” 今後は値下がり?令和の米騒動

日本人の主食・コメ。

2025年はそのコメの価格に翻弄される1年となりました。

備蓄米が放出されても価格の高止まりが続いています。

果たして値下がりするときはくるのでしょうか。

(岡崎アナウンサー)「まだまだずーっと車が並んでいます」

終わらない“令和のコメ騒動”。

(店の人)「ただいまから備蓄米販売いたします!」

政府備蓄米の流通でスーパーに長蛇の列ができました。

しかし、新米が流通し、下がると思っていた価格はなぜか逆戻り。

今なお高値が続くコメ、その背景に迫ります。

「耐え切れず…」全品1律40円値上げ

札幌市北区の定食屋「六宝亭」です。

カラッとあがったボリューム満点のチキンカツ。

そのおともには、炊き立てのごはんが一番です!

こちらの店は普通盛りでごはんが1合。

“量の多さ”が売りです。

人気のチキンカツ定食は990円。

さらに、ごはんの大盛はプラス150円で2合弱あります。

(店の人)「牛カルビのごはん大盛です。」

近くに北海道大学があり、学生や地元の人が多く訪れます。

(大学生)「ありがたいですね。味もおいしいし量がいっぱいあるので満足していつも帰っています。めちゃくちゃ学生にとってもありがたい」

(大学生)「食べ盛りなのでほかの生活費を崩してコメを買っています。値段に対して量がめちゃめちゃあるのでありがたいです」

1日に炊くコメの量はなんと100合!

2024年10月にはコメなどの材料費の高騰で30円から50円の値上げに踏み切りましたが、11月、更なる決断を迫られました。

(秋山康司さん)「全品一律40円ですね。だいたいコメ代って考えてもらえたら。一時ちょっと下がってよかったなと思ったけど、それでも10月になって新米価格の値上げが一気にまた来たので、それで耐え切れずまた価格を上げた」

行列できた“備蓄米” あれから半年、価格の変化は?

(江藤元農水相)「販売数量は21万トンとします。必要であればさらにこの数量も拡大することを考えています」

政府は2025年2月、高騰するコメの価格を抑制するため備蓄米の放出を決めました。

しかしー

(客)「店にまだ出ていないですよね。だからどうなっているのかなと」

備蓄米の流通量が十分ではなく、高値が続きました。

『随意契約による備蓄米』

(小泉前農水相)「小売価格では5キロあたり2000円程度となる水準です。早ければ6月上旬にも店頭に並べることができる」

5月には小泉大臣が、政府が価格を決めて業者と契約を結ぶ「随意契約」よる売り渡しを決定。

(岡崎アナウンサー)「備蓄米の購入がドライブスルーでもう間もなく始まる。ずらりと車が並んでいます」

(店の人)「ただいまから備蓄米販売いたします!」

(北本アナウンサー)「備蓄米の販売が始まりました!つぎつぎと渡されていきます」

道内でも6月、随意契約による備蓄米の販売が始まりました。

2022年産の古古米や21年産の古古古米など、5キロ2000円を切るものも販売され、備蓄米を求める客で長蛇の列ができました。

(客)「一袋だけ。まずはちょっと一安心かな」

(客)「嬉しいよね。よかったです、買えて。安いことに越したことはない」

あれからおよそ半年。

コメの価格はどうなっているのでしょうか?

(山岡記者)「札幌市内スーパーです。新米の価格は一番安いもので3994円。4000円を超えているものもあります」

コメ5キロの平均価格は、随意契約による備蓄米の販売が本格化した6月ごろから下がり始めました。

しかし、それも一時的で、新米の流通が始まった9月ごろから再び上がり、現在も高止まり続いています。

1年前と比べ1000円ほど値上がりしました。

(客)「値段いつまでも下がらないなと思います。高いけど買ってはいます」

(客)「チラシを見ながら安いところを探しているんですけど、どこもかしこも高くて。コメ以外のものを食べる頻度が増えました」

(キテネ食品館 中塚誠社長)「現状のこの価格は正直高いなと思います。コメ離れもかなり進んでいて、コメの売り上げはかなり厳しい状況です」

“概算金”が価格直結 想定超える集荷競争も

高値が続いている要因の一つが“概算金”です。

農協がコメを集める集荷の際に農家へ前払いする「概算金」。

農協以外の集荷業者と競争が激しさを増す中、ホクレンは3つの品種について概算金を2024年より1万2500円引き上げました。

(記者)「ここはどういった場所?」

(JAいわみざわ 加藤勉部門長)「生産者から出荷していただいたコメの保管をしている倉庫」

しかし、業者との競争は想定を超えるものだったといいます。

(JAいわみざわ 加藤勉部門長)「去年に比べると2パーセントほど集荷率については下がっている。全体扱っている量からするとかなりの量が落ちている」

(記者)「概算金がコメ価格に影響?」

(JAいわみざわ 加藤勉部門長)「一番直結していると思います」

空知の由仁町でコメを生産している賀集達矢さんです。

概算金の引き上げは歓迎しつつも複雑な思いを抱いています。

(コメ農家 賀集達矢さん)「概算金が上がってよかったのはよかった。概算金が上がって驚きもあり、嬉しさもあり不安もあった。(コメの価格が)下落しすぎることも上がりすぎることもどっちも不安になってしまうので、やはり安定して変動せず推移してほしい」

コメ離れも懸念される中、今後の価格はどうなるのでしょうかー

(酪農学園大学 相原晴伴教授)「ことしのコメの生産量は十分あった。コメが不足するような品質の悪さではない。今後は来年の6月末の在庫は過剰になることが予想されているので、今後はどこかの段階で価格は下がると思うんですけど、それがいつかははっきりとは見通せない」

終わりの見えない「令和のコメ騒動」。

価格の高止まりが続いたまま年を越すことになります。

12/31(水) 08:32

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