投資家から熱視線 “第2のニセコ” 富良野市の光と影 無許可営業横行も…海外客増加で変わるマチ 北海道

北海道内で、ニセコと同じく海外の投資家から注目されているリゾートエリアがあります。
富良野市の北の峰地区です。
海外からの観光客が増加し、急速に様変わりする“第2のニセコ”を取材しました。
4月に入っても海外からの観光客が訪れる富良野のスキー場。
(観光客)「香港から」
(観光客)「台湾から」
いま、外国人を狙った無許可のスキースクールが横行しています。
(記者)「許可をもらっていますか?」
(インストラクター)「日本語ちょっとすみません」
さらに、開発が進む住宅街には…
(山﨑記者)「一か月近く前の生ごみなどもそのまま放置されてしまっています」
“第2のニセコ”とも呼ばれる富良野。
その光と影を追いました。
地価上昇率全国1位 “第2のニセコ”として注目
富良野市のスキー場のふもとに広がる北の峰地区です。
メイン通りを走ると…
いたるところに英語で書かれた看板がありました。
外資系のホテルも立ち並んでいます。
さらに…
(山﨑記者)「こちらメイン通り沿いの住宅なんですが、売り物件の看板が立てられています。そして、後ろの住宅も売り物件になっていますね」
売りに出された住宅や土地が目につきます。
3月に発表された住宅地の公示地価では、北の峰町の一角が上昇率で2年連続の全国1位となりました。
その理由はエリアの特徴にあります。
近くにはスキー場があり、近年、宿泊施設などの開発が進むリゾート地なのです。
道内のスキーリゾートといえば、海外資本による開発が進むニセコエリアが有名ですが…
富良野では夏のラベンダー畑に、冬はパウダースノーと通年で楽しむことができます。
“第2のニセコ”として注目されていて、2024年度はおよそ190万人の観光客が訪れました。
3億円超の貸し別荘も…投資家から熱い視線
この日、北の峰地区を訪れたのは、ニセコにも投資している中国の投資家です。
スキー場から車で20分ほどの場所にある中古住宅の調査に訪れました。
築31年の4LDKで、販売価格は5500万円です。
(中国の投資家)「2階、見晴らしがとてもいいですよね。この辺は建物建てられないよね?」
(日本信達 石井秀幸社長)「農地なので建てられないです。景色が守られている」
(中国の投資家)「素晴らしい」
物件を紹介するのは、小樽の不動産会社です。
投資家による視察や問い合わせが相次いでいるといいます。
(日本信達 石井秀幸社長)「今週は台湾の投資のツアー、シンガポールや北京からも入っています。日本の企業(からの問い合わせ)も本当に増えました。売ってくださいという問い合わせも増えました」
(中国の投資家)「(富良野は)素晴らしいの一言ですね。民泊をしようかなと考えていますね」
投資家から熱い視線が注がれる富良野。
空き家や土地を購入し、貸し別荘などにする動きが加速しています。
(不動産会社の担当者)「こちらが最上階のユニットになります」
日本の投資家が所有する貸し別荘です。
広々としたリビング。
ジェットバス付きのバルコニーからは大雪山系の山々を一望できます。
家具や家電も揃っていて、すぐに長期滞在が可能です。
地元の不動産会社が管理し、販売していますが…値段はなんと、3億5千万円!
それでも、投資家などからの問い合わせが少なくないといいます。
(オールアバウトフラノ 池野正樹代表)「ニセコのひらふエリアを富良野の北の峰になぞらえると、まだまだ大幅な価格差があります。ニセコが高くなってきたので富良野の土地を買い求めるという方もいました」
放置されたごみ…対策に追われる町内会
こうした不動産取引は2016年ごろから活発になり、いまでは住宅街にも貸し別荘やコンドミニアムが混在しています。
町内会長の篠嶋慎一さんです。
自らも観光客を相手に宿泊施設を営んでいます。
(北の峰第3町内会 篠嶋慎一会長)「うちは3部屋しかないので、(繁忙期は)常に満室という感じですね。仕事面ではやっぱり嬉しいですよね」
一方で、いま問題なのが…
(山﨑記者)「こちら住宅街のごみステーションなんですが、一か月近く前の生ごみなどもそのまま放置されてしまっています」
町内では10年ほど前から、分別されていないごみが回収されず、放置される問題が続いています。
ごみステーションには英語で分別のルールが示されていますが…
(北の峰第3町内会 篠嶋慎一会長)「観光に来ている方なのか働きに来ている方なのかが、捨て方がよく分からずに捨ててしまうとか、いろいろなパターンがあると思う」
町内会では今後、ごみステーションに鍵をかける対策をとることにしています。
(北の峰第3町内会 篠嶋慎一会長)「僕たちはただ使ってほしくないから鍵をかけるのではなくて、鍵をかけることでちゃんと捨てるルールがあるんだと分かってもらって、理解して使っていただきたい」
無許可のスクール横行「日本語が分からない」
さらに、スキー場でも新たな問題が浮上しています。
海外からの観光客にスノーボードを教えるのは中国人の男性。
実は、無許可営業のインストラクターです。
許可なく有料で教えるスクールが横行しているのです。
富良野スキー場では、売り上げの一部を支払っている5つのスクールを認定。
それ以外は無許可での営業を禁止しています。
公認のインストラクターのウェアには、スクールのマークがついていますが…
(山﨑記者)「ウェアにはスクールの名前が書いておらず、どこのスクールか分からないですね」
公認のスクールに混じって、無許可のインストラクターが教えていました。
記者が直撃すると…
(山﨑記者)「許可をもらっていますか?」
(インストラクター)「全然分からない。日本語ちょっとすみません」
「日本語が分からない」と答えるだけでした。
こうした問題はニセコでもよく見られていたといいます。
(富良野スキー場 谷口晶彦さん)「スキーリゾートいろいろなところで、同じ手法で稼いで渡り歩いている組織があると聞いています。リフト券の使いまわしもやっているようなので断固排除していきたい」
“第2のニセコ”と言われる富良野。
開発が進む一方で「ニセコ化」への対応も迫られています。