偽らざる気持ち「敵は司法」 死亡事故の遺族が語る本音 大学院生死亡から2年 北海道小樽市
「敵は司法」。
飲酒運転の事故で息子を失った母親は、偽らざる本音を語りました。
息子を亡くした母親「敵は検察官と裁判官だった」
北海道小樽市で起きた大学院生が死亡した事故から9月22日で2年です。
(息子を亡くした母親)「敵は検察官と裁判官だったな、ていう風に思いましたね。これは言っていい言葉じゃないかもしれないけれど」
あの日から2年。
愛する息子を奪われた母親が語ったのは、司法に対する憤懣やるかたない率直な思い。
(息子を亡くした母親)「本当にうちの子が悪い判例として残るんじゃないか。あの短い(量刑の)判例は、息子の判例を参考に今後もこうなっていくんじゃないかというのが悔しい」
(息子を亡くした母親)「警察からの電話では息子さんが小樽で事故にあいましたと。けがの程度はと聞いたら、ちょっと間があって亡くなりましたと」
息をのむような惨状。
札幌市の大学院生・田中友規さんが亡くなった現場。
飲酒運転の車に衝突されたのです。
(田中友規さん)「田中友規と申します。丁寧かつ真剣に何事に対しても挑むようになりました。趣味は釣りです。本日はどうぞ、よろしくお願い致します」
当時、就職活動の真っ只中。
自宅でひとり、面接の練習をする映像が残っていました。
就職することなく、この先の人生を突然奪われた友規さん。
『その程度で済むんだ』と思う判決になってしまった
事故の相手は大沢亮汰受刑者。
(大沢亮汰受刑者)「私は酒を大量に飲み、無責任な飲酒運転をして被害者を死亡させてしまいました」
運転前にビールやウーロンハイをおよそ20杯。
飲み続けた時間はじつに12時間以上。
危険運転致死の罪で検察の求刑は懲役5年6か月。
しかし「反省の態度」などが考慮され、下された判決は懲役4年6か月。
両親は怒りを隠しませんでした。
(友規さんの父親)「刃物を持っていたらもっと重罪です。人を殺していることに関しては変わりない。これが判断の基準になっていくことは、法律の合理性はわかりませんが、感情的には許しがたい」
(友規さんの母親)「法律は抑止力を踏まえた上でのものっていうふうに、私の中では思っていたんですが、『その程度で済むんだ』と思う判決になってしまったのが、法曹界は(飲酒運転を)撲滅するつもりはないっていうふうに感じています」
飲酒運転事故で息子を失った両親の懸念を裏付けるかのように、飲酒運転は減るどころか…
(警察官)「しっかりとした機械でこれから測るので、その数値によって手続きが変わるので」
2026年7月にSTVのカメラが捉えた飲酒運転検挙の瞬間。
検挙の数は増加の一途で、2025年は814件に上りました。
「飲酒運転根絶」の言葉がむなしく響きます。
息子を奪われた母親の憤りは、2年経ったいまも加害者…そして司法にー
(友規さんの母親)「本当にうちの子が悪い判例として残るんじゃないか。あの短い(量刑の)判例は、息子の判例を参考に今後もこうなっていくんじゃないかというのが悔しい。敵は検察官と裁判官だったなと思いましたね。ただただ被害者家族が苦しむだけの判決だと」
(百瀬記者)「私と電話で話をしたとき、当時会見の時に何を話していたかわからないとおっしゃっていましたが、聞き返すと裁判の中で息子の尊厳は守られていなかったとおっしゃっていた」
(友規さんの母親)「ただ『悲しいです』って私たちの訴えを狭い法廷で、『大変でしたね』ってことにしかならない。被害者参加の裁判って何なんだろうと。すごく虚しかった」
2026年7月。
酒酔い運転や危険運転致死傷罪に対し、新たな数値基準が設けられました。
その基準が「0.5ミリグラム以上」。
一律で危険運転致死傷罪に該当するのです。
ただ、この法改正で危険運転の罪に対しての刑罰が重くなったわけではありません。
(中村浩士弁護士)「有期刑の上限の20年まで危険運転致死罪の場合にはもう上げていますので、(法定刑を)この先上げていくという可能性もあると思いますが、なかなかハードルは容易なところではないとは感じます。被害者の人数が増えればというところも加味した法定刑なので、これが果たして本当にこういう法定刑でいいのかというところは、やっぱり今後議論になってくるかなという気がする」
(断酒会)「一つ、私たちは酒害体験を掘り起こし、過去の過ちを素直に認めます」
法律は飲酒運転の抑制になるのかー
ここは、アルコール依存症などで酒に苦しむ人たちの「例会」です。
(参加者)「飲んでもう気分的に感覚がないんです。飲酒運転してるって感覚がないんです」
(参加者)「やっぱり酒飲んだらなんか気が大きくなって、大丈夫だなって感じになっちゃって」
この日の参加者の大半が飲酒運転で検挙された経験を持ち、一様に後悔を抱えていますが、記者の質問に本音もー
(百瀬記者)「法が厳しくなればなくなるものなのか」
(参加者)「いやー、なくならない」
(過去に飲酒運転の男性)「規制が厳しくなっても、やっぱりアルコールには勝てないと思う」
遺族の悲しみ・苦しみを置き去りにしたままの法律
飲酒運転事故で理不尽に未来を奪われた、大学院生の田中友規さん。
飲酒運転はなくならないのかー
それでも友規さんの母親は、法律に司法に怒りの刃を向けるのです。
(友規さんの母親)「そもそも飲む人は法改正があったから飲まないって思ってくれるんだろうか。本当に残された家族は地獄ですから。殺された側は守ってもらえない。やっぱり息子の尊厳は守ってもらえない。あちら(加害者)は守られていいなって思いました」
遺族の悲しみ・苦しみを置き去りにしたままの法律。
9月22日、あの日から2年。
最愛の息子の最期の場所にー
(友規さんの母親)「誰からも愛される子だったので、いまだに友達がお花を送ってくれたりお菓子を送ってくれたり、みんなの心にも、すごくあの子の存在が残っているんだろうなと思う。やっぱり誕生日が来るたびに、歳を数えてしまう。いまだったら、そろそろ結婚して、子どもでもって思っている自分がいるので何年経っても癒されない」
9月10日…田中友規さん、生きていれば26歳の誕生日。
