ことしで昭和100年!平成→令和と100年以上愛される北海道の老舗 菓子店とそば店の気概と決意

4月30日は「昭和の日」です。
昭和元年から数えて2025年で100年。
令和になっても100年以上愛され続けている老舗があります。
今回は北海道を代表する銘菓と、札幌中心部にひっそり佇むそば店の歴史に迫ります。
日本一食べづらいお菓子「よいとまけ」 創業には意外な事実が!
こんがりときつね色に焼かれたスポンジ生地。
その上に、たっぷりとハスカップジャムを塗っていきます。
丸めて形を整えたら完成…いえいえ!
最後にこれでもかというほど、ハスカップジャムがかけられます。
「日本一食べづらいお菓子」として全国的にも知られている「よいとまけ」です。
製造しているのは、創業から127年目を迎える苫小牧市の「三星」です。
「よいとまけ」を筆頭に道民に親しまれている菓子メーカーですが、創業には意外な事実がありました。
(三星 佐藤巧さん)「最初は軍隊さんに向けたパンを作っていたり、それから北海道で初めて売るためのパンということで一般の方にも販売したのが、創業のきっかけになっています」
三星の始まりは、実は小樽市内でのパンの製造。
1909年に苫小牧市へ移転し、パン製造のノウハウから徐々に菓子作りを始めました。
いまでも一部の店舗では出来立てのパンが売られていて、お菓子と並ぶ人気商品です。
(苫小牧市民)「ずっとここにいるので。なじみ深いしおいしい」
当別町から来た女性です。
帰り道に三星に寄るのが定番のドライブコースといいます。
(当別町民)「まず、よいとまけでしょ、かしわもち、これなんかグッズが入っているので買ってね、こういう感じ、必ずよいとまけ。母が好きだったの、三星が。よいとまけってハスカップを使っているんだけど、好きで毎回(買っている)」
昭和30年ごろの「よいとまけ」CM 見えてきたのは苫小牧の歴史との関わり
三星を代表する「よいとまけ」。
誕生の裏には、苫小牧の歴史と深い関わりがありました。
1910年に操業を始めた王子製紙の苫小牧工場。
紙の原料となる丸太を運ぶとき、作業員たちが「よいとまいた よいとまいた」という掛け声をあげていたといいます。
初代の小林正俊社長は、苫小牧の原風景をイメージして特産のハスカップを使い、丸太の形をした「よいとまけ」を作ったのです。
当初の「よいとまけ」には、切れ目がなく「切りづらい」「ジャムがベトベトしている」との声が寄せられ、「日本一食べづらいお菓子」と言われてきました。
最近では食べやすいようにと一つ一つ個別に包装された商品やー
アロニアのジャムを使った新しい味も発売され、伝統を守りながらも進化をつづけています。
(白老町民)「苫小牧出身なんですけど、給食で(三星のパンが)使われていました。クリスマスになると三星のケーキがよく出たので身近というか」
(札幌市民)「お菓子を買うならここしかないみたいな感じて来ていますね。安心ですねやっぱり」
いつ来ても変わらない安心感とおいしさを追求する「よいとまけ」。
それが愛され続ける理由のようです。
(三星 佐藤巧さん)「よいとまけは食べやすくできないかですとか、もっと新しい味ができないかということで研究も重ねていますので、今後もそれを続けていって200年300年続く会社でやりたい」
創業136年“老舗の味” 北竜町のそば粉を使った「二八そば」と継ぎ足しでつくる「つゆ」
札幌の狸小路商店街のすぐ近くに、100年以上続くそば店があります。
創業から136年、「酒とそば まるき」です。
(酒とそば まるき 武藤尚司店長)「ずっと継ぎ足し継ぎ足しで作っている物です。うちのつゆはちょっと濃いめのものですね。3代目の方が東京に修業に出てたという経緯があるのか、ちょっと江戸そばっぽいつゆですね」
3年前から店長を務める武藤尚司さん。
元々は、まるきのそばのファンだったといいます。
(酒とそば まるき 武藤尚司店長)「ここ来る前も何店舗かやってきて自分でもやったりして、やっぱりそのころもまるきのそばを食べに来ていた。あこがれって言っちゃなんですけど、ここで仕事をしてみたいというのは昔から思っていた」
店の自慢は何と言っても北竜町のそば粉を使用した二八そば。
山わさびをのせたそばと天ぷらセットが店の1番人気です。
(札幌市民)「40年以上前から来ている。そば屋はいっぱい行くけどここはかなりレベルが高い」
創業当時は南2条西4丁目にあった「まるき」。
区画整理によって75年前にいまの場所に移りました。
昔と店構えは変わりましたが、店内には創業時の看板が飾られています。
長年使われてきたせいろや天ぷら用の器。
老舗のまるきの歴史を器からも感じさせます。
お酒を嗜みながらそばで小腹を満たす。
江戸時代の古き良き文化を伝える名店です。
(札幌市民)「だしとかね、そば自体がおいしいね。北海道に来たのがもう60年ぐらい前になるか。雰囲気もいいですよね、お蕎麦屋さんって感じで」
(酒とそば まるき 武藤尚司店長)「1日1日をしっかりやってですね、お客様においしいそばを提供して、それをどんどん200年でも積み重ねていけたらなと考えております」
香り高いそばと代々受け継がれてきたそばつゆ。
その変わらない味が市民に愛され続けています。