ニュース

NEWS

難病で視力を失った男性 “光”をくれた盲導犬と最後の散歩「10年間ありがとう」引退までの日々 北海道

【動画で見る】難病で視力を失った男性 10年間過ごした盲導犬との別れ 最後の散歩…引退までの日々に密着 北海道

目の不自由な人を支える盲導犬が、引退の日を迎えました。

難病で視力を失った男性と10年間、共に過ごし寄り添ってきた盲導犬の「ウィード」。

深い絆で結ばれた男性と盲導犬の姿を追いました。

難病で視力を失った男性 目となり支えた盲導犬「ウィード」

(表谷光剛さん)「待てだよ。待て」

札幌市に住む表谷光剛さんと盲導犬のウィードです。

表谷さんの目となり支えてきたウィードは、まもなく引退の日を迎えます。

表谷さんは難病の網膜色素変性症を患い、14年前に視力を失いました。

(表谷光剛さん)「絶望的なことしか考えられなくて、精神的にもどんどん追い込まれていった。涙しか出てこない」

絶望と不安の中にいた表谷さんに光を与えたのが、ウィードでした。

外出するときはいつも一緒。

ウィードは10年間、表谷さんに寄り添い、ともに生活してきました。

そんなウィードもまもなく12歳。

人間でいえば80歳を超え、北海道盲導犬協会が定める引退の時期を迎えます。

(表谷光剛さん)「なるべく笑顔で送り出したいなと思ってましたけど」

<引退まであと20日> 仕事中もそばで見守るウィード

(表谷光剛さん)「今座ってるんですかね、丸くなってます?」

介護事業の会社の代表を務める表谷さん。

仕事中もウィードはずっとそばで見守ります。

(表谷光剛さん)「我が息子っていう感じでいるので、本当に大事な大事な存在だっていうのははっきりしている」

同僚の宮下さんもウィードと一緒に仕事をしてきました。

(宮下さん)「(ウィードは)一緒に仕事している仲間みたいな意識はある。この二人が離れるというのは、あまり想像できないというのが正直なところ」

<引退まであと5日> お父さんが最後のシャンプー

この日は表谷さんが毎月欠かさず続けてきたウィードの最後のシャンプーです。

(表谷光剛さん)「最後だね、お父さんが洗ってやれるのはこれが最後だね。今までで一番きれいだよ」

(表谷光剛さん)「ウィードはイケメンだよって言うので良い顔しているんだろうな、優しい顔しているのかなっていうのは思います」

<引退まであと3日> 最後の散歩「ありがとう」その言葉がすべて

(表谷光剛さん)「はい、ウィード、ハーネス。最後の散歩行くぞー」

盲導犬の印「ハーネス」をつけて、最後の散歩です。

(表谷光剛さん)「横断、グッドグッド!」

(表谷光剛さん)「ウィード頑張って、足痛いかい?大丈夫?」

(表谷光剛さん)「やっぱり初めて会った時のこの子のスピードや感覚を覚えているので、本当にゆっくりになったなという感じですね」

最近は衰えを感じるようになり、散歩もたまにしか行けません。

(表谷光剛さん)「大丈夫?いいよ。しっかり歩いて頑張ってくれて。お疲れ」

(表谷光剛さん)「本当に、ありがとうっていう、簡単だけどその言葉がすべて」

<引退当日> 別れを惜しむ表谷さんとウィード

ついに引退の日を迎えました。

仕事仲間にお別れの挨拶です。

(宮下さん)「寂しくなりますね」

(表谷光剛さん)「はい、ウィード最後のハーネスだよ。グッド。それでは行ってまいります」

同僚の宮下さんと一緒に盲導犬協会へ向かいます。

(表谷光剛さん)「いよいよだよ、ウィード。微妙に人の足に足つけないで」

別れを惜しむ表谷さんとウィード。

(表谷光剛さん)「どうした?」

表谷さんを見つめ、鼻をならすウィード。

(記者)「鼻をならすことは、聞いたことない?」

(表谷光剛さん)「そうですね」

表谷さんも涙をこらえます。

(表谷光剛さん)「行くか」

そして、別れのときを迎えました。

(表谷光剛さん)「10年間一緒に生活して歩くことができました。良い思い出しかないです。1時間前くらいからウルウルきて、うまく話せないけど、本当にありがとうございました」

<別れの瞬間> 表谷さんを追いかけるウィード

(表谷光剛さん)「じゃあね、ウィード。元気でな、また会おうね」

(表谷光剛さん)「ハーネスはもうすることないよ。みんなと遊びな。じゃあ、お願いします」

ウィードは表谷さんの姿を最後まで追い続けていました。

(表谷光剛さん)「お互いに必要なパートナーだったので。なんとも言えない…」

<引退から10日後> 新たなパートナーと歩み始めた表谷さん

ウィードはいま、引退した盲導犬が暮らす老犬ホームで、ほかの犬たちと一緒に静かな余生を過ごしています。

そして、表谷さんは新しくパートナーとなった2歳のムサシと歩行訓練に励んでいました。

(表谷光剛さん)「横断だよ、グッド!」

(表谷光剛さん)「この子のペースを見ながら、学ばせてもらって進んでいるっていう毎日。目が見えなくなって一番良かったことは盲導犬と一緒になれたこと。10年間一緒にいたウィードと一緒になれたというのは、本当に良かったことだと自信を持って言えます」

視力を失った表谷さんに希望の光を与えたウィード。

感謝の思いを胸に、新たなパートナーと歩み始めます。

05/17(土) 08:23

ニュース