【異例】計22万人近くが署名「水源は守ってもらいたい」ニセコ町の水が“危機”…町有地返還訴訟
北海道ニセコ町が異例の署名活動をしました。
住民生活の水源地となっている土地の所有を巡る訴訟の1審で町が敗訴して、現在、札幌高裁で争われていますが、町は22万人近い署名を集めました。
この署名は法的な判断にはどの程度影響するのでしょうか。
羊蹄山のふもとに位置する後志のニセコ町。
およそ5000人が暮らしています。
(百瀬記者)「この先にあるのが羊蹄山のふもとに位置するニセコ町の水源です。人口の大半をカバーする重要な水源なのですが、いまこの水源を巡って争いが起きています」
町内には人口のおよそ8割に給水可能な水源地があります。
民間企業の開発などで水源に影響がないように、町は2013年にこの一帯のおよそ16万平方メートルの土地を購入しました。
しかしー
(4代前の所有者の代理人弁護士)「あの水源は無断で売買された土地だ」
登記簿によりますと、この土地は2008年に山梨県のA社からB社に売買。
その後、C社・D社へと売買され、2013年にニセコ町が取得しました。
しかし、A社はB社への売買は第3者が無断で行ったものであるとし、ニセコ町に対し土地の返還を求める裁判を起こしました。
そして2024年9月、札幌地裁はA社の主張を認めニセコ町が敗訴しました。
まさに「寝耳に水」の出来事。
町は判決が不服として控訴しました。
(ニセコ町 山本契太副町長)「4代あとに町が正規の手続きで買った土地が、いまは町の土地ではないので返してくださいというのは承服できないし、これは何ですかという驚き」
町では、札幌高裁に適切な判断を求めるための署名を呼びかけ、町民の過半数のおよそ2800人、インターネットではおよそ21万5000人の署名が集まったということです。
(町民)「水源は生活に必要なものですからぜひ守ってもらいたい」
(町民)「羊蹄山にはきれいな水があるので(町には)がんばってもらいたい」
22万人近くも集まった署名。
裁判の結果にはどの程度影響を与えるのでしょうか。
(シティ総合法律事務所 中村浩士弁護士)「裁判官の判決は法的判断に基づいて粛々と見解を示すだけ。署名活動で住民の意をくんで法的な評価を変えることにはならない。(A社からB社への)売買契約の有効性を証明する有力な新証拠を出していかない限りは1審の判決を覆すことは難しい」
生活に欠かせない水。
町は署名活動の意味をこう訴えます。
(ニセコ町 山本契太副町長)「いかに公共の福祉として重要な土地なのか町民の皆さんと共有して、裁判所にも少しでも理解いただきたいということで署名活動をした」
9月には町とA社との和解協議の場が設けられていますが、町は土地購入の予算の関係などから和解に応じるかどうかは協議中であるとしています。