お通しに潜む居酒屋の戦略 差別化で客呼ぶ仕掛けとは? 飲食店の思惑・戦略を徹底解剖!
長引く客足の減少や物価高に頭を悩ませている飲食業界。
しかし、他の店と差別化を図り、客を呼び込もうと日々工夫しています。
そんな動きが、実は「お通し」に表れています。
席につくと最初に出てくる「お通し」に潜む、飲食店の思惑や戦略を徹底解剖します。
お通し代は3760円!?強かな経営戦略が…
すすきので人気の居酒屋。
この店ではボリューム満点・刺身の船盛りがウリ!
どのテーブルもまず船盛りを注文しています!
記者も取材のあいまにちょっと腹ごしらえ!
お刺身を2品ぐらいつまもうとしましたが…
(山本記者)「すいません、これ頼んでいないんですけど…」
(店員)「こちら当店のお通しということでお出しさせていただいています」
(山本記者)「えっ!?これが『お通し』なんですか!?」
そう!この店では20種類以上の刺身の舟盛りとカニの盛り合わせが、来店客全員に出される「お通し」です。
(客)「舟盛りでお通し?って。これお通しじゃないですよね。ふつう小鉢に『お通しです』って来て、お通しですね、みたいな感じだけど…これがお通し!?」
お通し代は3760円。
これだけを目当てに訪れる客が大半です。
(大漁舟盛り居酒屋大海物語 出嶋智志代表)「(満席だと)50お通し分くらい切ります。めちゃくちゃ切ります。毎日魚しか切っていないです」
この常識外れの「お通し」には、強かな経営戦略が潜んでいます。
(大漁舟盛り居酒屋大海物語 出嶋智志代表)「普通の居酒屋だと、刺身を頼まないお客さんもいるわけじゃないですか。うちは必ずお出しするので、仕入れる量とかそこらへんも計算できますし、ロスが少なく済むって感じですね」
(客)「おいしい」
(大漁舟盛り居酒屋大海物語 出嶋智志代表)「お店の色を出すというか、どこにもないお店を目指してやりたくて。日本全国探してもないと思うので」
「お通し」で差別化 集客を図る店が増加
創業40年を超えるこの店でも…
(お刺身居酒屋瑠玖&魚平 荻野勇作店長)「お通しというもので利益を得ようということではなくて、来店してもらうための1つの武器としてお客さまに認識していただけたら、すごく次につながることだと感じております」
なにやら来店客が集まる一角がー
モヤシのナムルにサラダ、さらには煮物にフライまで!
じつはこれが「店の武器」というお通しです。
(山本記者)「こちらのお店は、並んでいる惣菜の中から好きなものを好きなだけお皿に盛れるというシステムです」
ちょっとした遊び心が来店客の気分を盛り上げます。
(山本記者)「お皿からこぼれなければいい、ということで…積み木感覚ですね。まだ乗るかな?」
(客)「めっちゃ安いですね。お得で逆にこれだけでいけそうな感じ。揚げ物もあるし煮物もあるし、お酒を飲むにはうってつけかなと思います」
(客)「見ていただければ分かるんですけど、彼は1種類、私は3種類で。彼は1つのものが好きなんですけど、私はたくさん盛った方がいろんなお酒と合うからっていうので、分けられるのも楽しみなのかな」
コロナ禍以降、減った人出に折からの物価高で逆風強まる外食産業。
「お通し」で差別化を図り、集客を図る店が増えています。
お通しの起源は諸説ありますが、江戸時代の立ち飲み屋台で、つまみの注文を「通した」…という合図で出したのが始まりとも言われています。
諸外国の飲食店でもあまり見られないようです。
(台湾からの観光客)「サービスかと思ったらお金を請求された。うそをつかれたとは思わないけど、文化の違いを感じた」
(マチの人)「いる派ですね。あったら嬉しいよね、寂しくない」
(山本記者)「もし苦手なものなら?」
(マチの人)「ならいらない。なんかもったいない」
(マチの人)「食べられないし苦手なら、フードロス的な」
(マチの人)「僕はいらない派ですね。食べたいものではないとかもある中で、プラス400円とかかかってくるのが、ちょっと金銭面的にも…まだ若いので」
(マチの人)「いろんな物価が上がってきて生活もきつくなってきて、その中で不要かどうか、いるかどうかって言われたら(いらないに手が)あがる」
(マチの人)「食べたくないのが多い。枝豆、塩キャベツ、いらないです」
「お通し」料金請求しない店も 物価高のなか苦労
このようなマチの声を受けてか、「お通し」を提供し、料金を請求する飲食店は、近年の5年間でおよそ1割減少…というデータもあります。
すすきの大衆酒場。
店頭に掲げられた看板には「お通し・席料なし」
(客)「お通し代分、料理を頼めたりするので、だったら好きなものを食べられた方がいいかなって」
(大衆酒場036 園田修代表)「やはり酒を一杯飲むだけでお通し・席料がかかると客的には割高に感じる。口コミでいただくのは、2次会利用でもちょっと飲むだけでもお通し・席料がないから使いやすいという声はもらう」
「お通しを出さない」というのも差別化戦略のひとつです。
「だし」が自慢の料理が看板のこの店のウリは…
出ました!これからの季節に食べたいおでん!
毎日大量の仕込みですが、物価高のなか苦労も…
(だし劇場○△□ 小山智大さん)「さつま揚げっておでんの中で原価が一番高くなっていまして、今までは1枚で出していたんですけど、やっぱり物価も上がってきて、半分に切るようになりました。こんにゃくも以前はこの形のまま出していたんですけど、今はもう4分の1に」
その苦労のかいあって、どのテーブルからもおでんの注文が!
こちらのグループも…
(客)「がんも、しらたき、はんぺん、さつま揚げ…3つずつでお願いします!」
実は…おでん食べ放題が「お通し」!お値段550円!
大量の仕込みのワケも納得です。
(だし劇場○△□ 小山智大さん)「うずらとか人気なので、一気に50個とか。若者のグループが来たりすると、10個単位で頼まれたりとかもありますね」
(客)「だしで割った日本酒!これはうまい!」
熱々のおでんで酒の注文が増え、客単価を上げる…という戦略が潜んでいます。
(客)「この年代でそんなに食べないだろうと思ったんだけど、頼んじゃいました」
(客)「ありがたいよ絶対。これを550円で食べ放題でお酒も飲めるって、いいんじゃないか」
夜のマチの人出が減ったり物価高にあえぐ飲食店。
しかし、客を呼び込もうという強かな戦略。
「お通し」に夜のマチの世相が見え隠れしています。
