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一番列車の乗客はいま…歓喜に沸いた開業から10年 北海道新幹線の歩みと課題 波及効果を広げる試行錯誤続く

北海道新幹線が開業してから3月26日で10年となりました。

新函館北斗駅前では記念セレモニーが開催され、多くの人でにぎわいました。

道民が歓喜に沸いた10年の歩みを振り返ります。

一番列車に乗っていた家族はいま…息子の夢は「北海道新幹線の運転士」に

(宮永キャスター)「新函館北斗駅前です。北海道新幹線は開業10周年を迎えます。きょうは記念のイベントが開かれているのですが、大勢の客が集まっています」

先週末、新函館北斗駅は多くの人でにぎわっていました。

北海道新幹線が開業して10年という節目を、地元の人やご当地キャラクターが盛り上げます。

(函館市民)「東北出身なので新幹線は身近な存在なので10周年はうれしく思う」

(宮永キャスター)「新幹線どうだった?」

(札幌市民)「かっこよかった」

(宮永キャスター)「いまホームにはラベンダーカラーのH5系がとまっています。10年前、この場所から北海道新幹線の歴史が始まりました」

(宮永キャスター)「鮮やかに輝く緑の車両が動き始めました。新しい時代が始まります。東京行き一番列車、はやぶさ10号出発進行です」

10年前の3月26日、北海道新幹線は新函館北斗と新青森の間が開業、待望の新幹線に沿線の住民は歓喜に沸きました。

最高時速260キロで駆け抜け、東北や首都圏がぐっと身近になりました。

“夢の列車”に乗って感極まっていた人も…

一番列車に乗っていた札幌市の岡部尚人さんです。

(車内アナウンス)「みなさまは北海道から最初に新幹線で青函トンネルを通過するお客様となります」

(岡部尚人さん)「夢がかないました!」

あの感動から10年、私たちは再び岡部さん一家を訪ねました。

(宮永キャスター)「10年ぶりになりますね」

(岡部尚人さん)「お久しぶりです」

当時は3歳と7歳だった子どもたちは、中学生と高校生に成長していました。

(宮永キャスター)「さすがですね。鉄道の写真がいっぱい貼ってあって…びっくりしたのが、これですよ。これはなんですか?」

(岡部尚人さん)「北海道新幹線のイスです。新幹線が大好きで、欲しくて欲しくて、乗りたくて、経済事情もあって、家にあれば乗っている雰囲気を味わえるかなと。どうせだったら回転させて対面にしたいと」

いまでは新幹線が家族の日常の一部になっています。

(妻・聖恵さん)「あっという間に2台もそろって、すごい私はびっくりしているが、新幹線愛がすごいんだなって」

(宮永キャスター)「当時は感動した?」

(岡部尚人さん)「感動しましたね。やっと新幹線で青函トンネルをくぐれると。青森や仙台・盛岡などへ行きやすさはあるので、そこがいいのかなと」

息子の航大さんは新幹線の運転士になるという夢ができました。

(岡部尚人さん)「ぜひ北海道新幹線の運転士、頑張ってほしい」

北海道新幹線の役割は「道南地域の観光」残る課題も

北海道新幹線が果たしてきた役割の一つが、道南地域の観光です。

2024年、映画・名探偵コナンの舞台となった函館では、“聖地巡礼”のファンを楽しませる仕掛けを展開し、大きな経済効果をもたらしました。

2024年度に函館を訪れた観光客は602万人と過去最多を更新。

たくさんの人が新函館北斗駅を利用しました。

“新幹線効果”はマチの活性化にもつながっています。

新幹線開業の2016年にオープンした木古内町の「道の駅」です。

来館者はこの10年で500万人を超えました。

(函館から来た人)「活気づいていると思う。(道の駅が)できてから結構イベントとかやっているので来やすくなった」

(八雲から来た人)「5~6回くらい来ています。新幹線を見たいって」

(中川家礼二さん)「はやぶさ24号の出発合図を行います。出発」

記念イベントでは10周年を祝い、あの日の出発式を再現。

(宮永キャスター)「北海道新幹線H5系が東京に向かって動き始めました。次の10年へ、その先の札幌延伸に向けての新たなスタートです」

一方で、利用者の拡大など課題も残されています。

北海道新幹線の利用者数は新型コロナの影響で一時大幅に落ち込みましたが、今年度はコロナ禍前の水準に戻る見込みです。

しかし、1日の平均利用者は5000人弱。

1日の平均乗車率は25%で、毎年およそ120億円の赤字が続いています。

(宮永キャスター)「北海道新幹線の開業にあわせて新函館北斗駅前の開発も期待されていましたが、新型コロナの影響もありなかなか進んでいません。駅前の土地もまだ買い手を募集している状況です」

開業翌年と比べても更地が広がる風景に大きな変化はありません。

10年経っても開発が進んでいないのが現状です。

(ホテル・ラ・ジェント・プラザ函館北斗 金澤竜支配人)「こちらがトレインビュールームです。窓からは北海道新幹線をご覧いただくことができます」

新函館北斗駅に隣接するホテルです。

新幹線開業の翌年にオープンしました。

立地を生かした部屋が家族連れに人気で、コロナ禍以降、宿泊客は増加傾向が続いています。

そのなか、宿泊客からこんな声が…

(ホテル・ラ・ジェント・プラザ函館北斗 金澤竜支配人)「駅周辺の飲食店やコンビニが少ないという声が多い。もっと地元の方々が中心となり活性化できるような駅前にしていければ、北斗のよさも広がっていくのかなと」

駅の近くでそば店を営む澤村英都さんです。

創業17年。

道南の厚沢部町産の二八そばが自慢です。

(宮永キャスター)「のどごしもいいですし、おいしいです」

新幹線の開業でマチが活性化することに期待を寄せていたといいます。

(そば処みやこ庵 澤村英都さん)「正直言うとあまり変わってない。駅前は寂しすぎますよね」

店を訪れる客は増えましたが、周辺の飲食店は減少する一方だといいます。

(宮永キャスター)「地元の人としてはどんな風になってほしい?」

(そば処みやこ庵 澤村英都さん)「駅前に人が集まるようになったら、商売をやる人たちがでてくると思う。駅を開業した時にはその周辺も同時に何かやるべきだと思う」

北斗市は、交通拠点としての強みを生かし企業誘致を進めていますが、マチの活性化につながる開発は道半ばです。

(北斗市 池田達雄市長)「私の思いとしては、何もないところに駅ができた。そして新たに駅前をにぎわいをもたらすことは5~10年でできることではなく、時間がかかってくるかと思う。人口減少などの課題もある中で、新幹線の駅があるという利点をいかして、マチづくりを進めていかなきゃいけない」

試行錯誤続く“北海道新幹線” この先10年で必要なこと

JR北海道の綿貫泰之社長です。

開業した年に函館支社長に就任し、利用促進に取り組んできました。

Q.10年間を振り返って

(JR北海道 綿貫泰之社長)「青函における交流の拡大には寄与したと考えている。課題としては、開業前からだが観光が中心だということと、夏と冬の季節格差があるところが改善しきれていない。今後いかに新幹線に乗ってもらうか、特に閑散期の冬に乗ってもらうかだと思う」

札幌開業によってその効果が発揮される北海道新幹線。

しかし、トンネル工事が難航し、札幌延伸は2030年度末から2038年度末以降と大幅に遅れることになりました。

(JR北海道 綿貫泰之社長)「これからの10年は、未来に向けての10年だと位置づけている。新たな新幹線の駅周辺のマチづくり、それからその効果を全道に波及させるための知恵出しを地域の皆さんと一緒に考えていく10年にしたいと思っている」

専門家は、JRだけにとどまらず北海道全体で取り組む重要性を指摘します。

(北大大学院工学研究院 岸邦宏教授)「新幹線を降りた先の観光や二次交通を、もっと課題を解決しながら、そしてJR北海道と連携してやっていくことが道南地域は必要だと思う。新幹線はやはり札幌まで開業して初めてネットワークが完成する。道民や経済界が一体となっていかしていく、いろいろな交通手段も含めて連携させていくという取り組みをこの先の10年間でやっていかなきゃいけない」

札幌延伸が大幅に遅れるなか、新幹線の波及効果をどのように広げていけるか試行錯誤が続きます。

03/28(土) 13:12

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