食べて応援!「札幌黄」病気に弱く高温も影響…幻のタマネギが苦境に 市もスタンプラリーで後押し
肉厚で甘みが強い幻のタマネギ「札幌黄」をご存じでしょうか。
栽培が難しいため、年々生産する農家が減少していますが、その「札幌黄」をおいしく食べて応援しようという取り組みが始まっています。
ローストした野菜とチーズの上になみなみと注がれるスープカレー。
札幌市東区のスープカレー店で提供しているのは、東区発祥のタマネギ「札幌黄」がまるまる1玉入ったスープカレーです。
一般のタマネギより強い甘みを引き立てるため、オーブンでじっくり40分加熱。
さらに、25種類以上のスパイスが入っているスープにも札幌黄が使われています。
その味はー
(長南記者)「札幌黄の甘さがとろけて、スープカレーにぴったりです」
(さとのスープカレー店 我孫子雄一さん)「(札幌黄は)甘みが全然違います。生産者が一生懸命に作っているので、札幌黄を使っておいしさを最大限に表現できるスープカレーを提供し、魅力やおいしさを伝えたい」
この店が参加しているのが、タマネギ農家を応援しようと札幌市が企画したスタンプラリーです。
東区にある15の飲食店などをめぐりスタンプを集めると、抽選で札幌黄や特産品を手に入れることができます。
応援の背景には札幌黄をつくる農家の苦しい現状がありました。
札幌市東区にあるタマネギ農家です。
明治時代に日本初のタマネギとして札幌黄が栽培されてから、この地で生産し続けてきました。
実は、札幌黄は甘みが強く肉厚な一方で病気に弱く、栽培するのが難しいため、生産する農家は年々減少しています。
作付け面積は札幌市内のタマネギ全体のわずか3パーセントで、「幻のタマネギ」と呼ばれています。
さらに2025年、ある異変が。
(岩波農園 岩波充彦さん)「タマネギの大きさはことしはこういうS玉、これくらいの大きさの比率がすごく多いのですごく困っている状況」
2025年の猛暑や雨が少なかった影響で、タマネギが大きく育たず小玉に。
さらに、収穫時期に雨が続いたため、作業が2週間ほど遅れ、収穫量も2024年の半分ほどといいます。
そんな中でもできたタマネギはおいしいと太鼓判を押します。
(岩波農園 岩波充彦さん)「いろんな人が関わっていただいたり買っていただいて、札幌黄はすごく盛り上がっているので、みなさんにおいしいものを食べてもらう思いで守り続けていかなければ」
幻のタマネギ「札幌黄」は一般のスーパーでほとんど流通せず、農家が直売するケースが多いといいます。
気軽に農家を応援するためにも、みなさんも一度、スタンプラリーに参加している飲食店で「札幌黄」を食べてみてはいかがでしょうか。