【闇バイト裁判詳報】25歳被告に検察は懲役6年を求刑「闇バイトに関して厳罰が必要」 札幌地裁

札幌市内で2024年10月に起きたいわゆる“闇バイト”による強盗や窃盗事件で、逮捕・起訴された実行役の男の裁判が札幌地裁で開かれました。
強盗や窃盗などの罪に問われているのは、鈴木陸被告(25)です。
起訴状などによりますと、鈴木被告は2024年10月、札幌市南区の空き家に侵入し、ブローチなどを盗んだほか、札幌市豊平区の住宅に侵入し、住人の男性の手足を粘着テープで縛る暴行を加えて、現金3万円を奪ったなどとされています。
2025年4月25日の裁判では、被告人質問と論告が行われました。
【弁護側被告人質問抜粋】
Q)強盗の被害者に対して何を思っている?
A)被害者に対してすごく怖い思いをさせた。トラウマになってしまったら申し訳ない。人生を狂わせてしまったと思っている
Q)今後はどう生きる?
A)仕事をしてまっとうに生きていきたい
Q)借金はどうする?
A)清算して一度人生をやり直したい
【検察側被告人質問抜粋】
Q)素性の分からない相手からの指示に対してやらないという選択肢はなかったのか?
A)お金がなくて周りが見ていなかった
Q)被害にあった人は嫌な思いをしているが、犯行前に被害者のことなどを考えなかったのか?
A)その時はできなかった
Q)家族に事件前に相談していればよかったが、なぜしなかったのか?
A)(涙ぐみながら)きょうだいが多く、お金がかかるきょうだいもいるので頼れなかった
【検察論告】
・身体的に圧倒的に凌駕している被害者に対して馬乗りになり、皮下出血が生じるほどの力で拘束するなど、被告人の行為が強盗に相当する暴行なのは明らかで、被告人の行為は卑劣悪質である。
・窃盗に関して、買取額を指示役に過少に報告して自分の取り分を増やすなど、犯罪への関与に関して従属的とは言えない
そのうえで、社会問題にもなっている「闇バイト」に関して厳罰が必要だとして、検察側は懲役6年を求刑しました。
【弁護側論告】
・ハンマーやマイナスドライバーなどの凶器を所持していながら、犯行時に被害者に示していないことや、被害者が両手の拘束をといていることなどから、強盗罪ではなく恐喝罪である
・すでに示談が成立していて、被害者が「被告人の重い厳罰を望まない」と述べている
・犯行の全てが指示役からの指示であり、被告人は自ら考えておらず、“意思のある道具”だった
・金策のために犯行に及んだが、被告人の抱える借金も、本人の浪費などで形成されたわけではない
などとして、弁護側は情状酌量を求めました。
裁判長から「最後に何か言いたいことはありますか?」と問われた鈴木被告は、「まず今回私が行ったことに対して被害者の方に申し訳なく思っています。深く反省しています。迷惑をかけてしまった仕事先や家族にも申し訳ない。自分の考えの甘さがこのようなことを起こした要因。考えを改めてまっとうに生活したい」と、まっすぐに前を向いて答えていました。
裁判は結審し、判決は5月20日に言い渡されます。