【詳報】刑事責任を問えると判断「人命を軽視した行為」コンビニ3人殺傷事件 懲役30年の判決理由 被告側は控訴

札幌市北区のコンビニエンスストアで2024年、店員ら3人を刃物で刺し、1人を殺害した罪に問われていた宮西浩隆被告の裁判員裁判で、札幌地裁は7月2日、宮西被告に懲役30年の判決を言い渡しました。
判決によりますと、無職の宮西浩隆被告は2024年2月、札幌市北区のコンビニエンスストアで、運営会社の社員の男性(当時40)をナイフで突き刺し殺害したほか、店員の男女2人を殺害しようとしました。
この裁判は刑事責任能力の有無が争点で、検察側は「心神耗弱を考慮しても事案が重いことは変わらない」と指摘し、懲役30年を求刑。
一方、弁護側は「心神喪失の状態だった」として無罪を主張していました。
裁判所の見解
◇宮西被告の妄想について
宮西被告に妄想があることは明らか。妄想自体は全く現実と接点がないわけではない。また、妄想が命令や指示をしていたものではない。
◇犯行について
いきなり刃物を出して襲うのではなく、刃物をバッグに入れて店に向かい、店内を確認したりと、自分なりの判断をして行動に移している。全てが妄想に付随しているわけではない。
(犯行は)怒りをぶつける被告のパーソナリティからくるものであり、妄想につらぬかれた行為とは言えない。
◇心神耗弱か心神喪失か
犯行を踏みとどまる気持ちはあったが、妄想が強かった。警察に射殺されるかもしれないなど、刃物で刺すことは悪いことだと認識していた。妄想の影響があったとは言え、悪いことかを識別する力は機能していると判断したため、宮西被告は心神耗弱だと判断する。
◇懲役30年の理由について
生活保護が打ち切られ自分が餓死するくらいなら店員を殺そうという、人命を軽視した行為は、(妄想ではなく)被告人の考えが影響しているため、なお厳しい批判にあたる。
被告は法廷でも謝罪することがなく、反省は伺えず、再犯の可能性もある。
心神耗弱がなければ同様の犯罪と比較しても無期懲役が妥当。心神耗弱をもってしても上限から減らす理由がない。
なお、札幌地裁によりますと7月9日、宮西被告の弁護人が判決を不服として札幌高裁に控訴しました。