きのこ汁・きのこラーメン… 「秋の味覚」キノコ最前線 物価高のなか生き残りをかけた戦略とは 北海道
様々ある「秋の味覚」、その代表格はキノコです。
物価高の中で、北海道のキノコの生産地でも生き残りをかけて様々な戦略が練られています。
「道産キノコ最前線を追え」!
「幻のキノコ」生産現場にカメラ初潜入
まずは「幻のキノコ」の生産現場に、カメラが初めて入りました。
(林記者)「幻のキノコが生産されていると聞いたのですが」
(奥山食菌 奥山広樹さん)「こちらです」
ここにテレビカメラが入るのは初めて!
旭川市の奥山広樹さんが作る「幻のキノコ」とは?
(奥山食菌 奥山広樹さん)「エゾユキノシタという北海道特有の品種ですね。僕の知る範囲では(他の生産者は)いないですね」
その名も「エゾユキノシタ」。
エノキダケの野生に近い品種で、甘みとうま味が強いものの、栽培が難しい!
なぜ、そんな難しいキノコを手がけようと思ったのですか?
(奥山食菌 奥山広樹さん)「ストレスをかけない感じで」
(林記者)「野生に近いように?」
(奥山食菌 奥山広樹さん)「そうですね。なんか変わったことをする人がいないと面白くないので、変わったことをする人でいたい」
道産キノコ生産の最前線
道産キノコの生産現場にはいま様々な動きが!
札幌市内のスーパーでもキノコには買い物客の手が次々と!
(来店客)「キノコは絶対食べていますので」
(来店客)「常に冷蔵庫に入っていますね。栄養価も高いし値段も安定しているし助かります、正直」
大きな鍋に投入されるキノコ!キノコ!またキノコ!
直径3.5メートル、深さ2メートルの大鍋に投入されるキノコの量は340キロ!
朝から4人がかりで鍋をかき混ぜ、作るのは4000人前!
出来上がりを今か今かと待ちわびるこの大行列!
上川の愛別町特製の「ジャンボきのこ汁」です。
(来場客)「キノコの味が口の中にぶわっと広がっておいしいです」
(来場客)「うまいです。歯ごたえが違いますね。しゃきしゃきして」
(子ども)「おいしい」
(林記者)「どのくらい?」
(子ども)「いっぱい」
2026年で40回目のメモリアル!
上川管内有数の秋の祭り・愛別町の「きのこの里フェスティバル」。
毎年、人口の3倍以上の8千人がマチを訪れます。
愛別町といえば道内屈指のキノコの生産地。
マチの至るところにキノコ!キノコ!ここにもキノコ!
キノコ料理の達人が作る絶品フルコース
(荒木邦雄さん)「ここです。これが落葉キノコ。朝食でも出していますし、夕食のフルコースの中にも入っております」
愛別町でも知らぬ人はいない“キノコ料理の達人”荒木邦雄さんが、きょうもキノコの収穫に精を出していました。
荒木さんの職場は…?
炭酸を含んだ美肌の湯が自慢の愛別町「協和温泉」です。
この温泉宿のもうひとつの自慢が…
ここでしか食べられない、その名も「きのこフルコース」。
エノキとシメジの土瓶蒸しに、落葉キノコの酢の物。
きのこ柳川は、他に類をみない旨味が口いっぱいに広がります。
すべて荒木さん考案のレシピです。
(訪れた人)「シイタケのお刺身なんて初めて」
(訪れた人)「おいしい」
(訪れた人)「罪悪感のない食事でとてもおいしくて、健康に良いものばっかり」
(訪れた人)「おいしいとにかく。乾杯!」
(荒木邦雄さん)「(温泉よりも)キノコ目当ての方が多いような気がします。(キノコが)主役でもいけるんだなっていう気持ちで出している」
道内シェアの8割!ビンで育つエノキダケ
キノコでマチ起こし・愛別町。
なかでもエノキダケは、道内シェアの実に8割を誇ります。
エノキダケが育つのは菌床と呼ばれるビンのなか。
ここから出荷できるまではおよそ8週間。
一定の気温・湿度のもとゆっくりと成長させるのです。
(ヒット代表理事組合長 宮田哲雄さん)「(コメの)減反政策が始まったころですから。このままでは生きていけないというのがあったので。水田農家から見ると(キノコ生産の)売り上げは魅力でしたよね」
宮田さんは30年前に、別の農家と共同で法人化。
いまでは道内最大級のエノキダケの生産者となり、「愛別の自慢」を安い値段で安定して市場に出すことがなによりの誇りです。
(ヒット代表理事組合長 宮田哲雄さん)「1瓶あたり100グラムしかできなかったところから比べて3倍の量が出ているわけですから、それがコストを下げる一番の要因。そのおかげで市場にそんなに年中変わらない値段で買ってもらえている。食べていただいてありがとうっていう気持ち」
本州産に対抗…巨大なマイタケ
一方、対照的な戦略をとるキノコ生産者も!
この施設で育てられているのはマイタケ。
ここのマイタケには、大柄の林記者も思わず…!
(林記者)「そのキノコ、持ってみてもいいですか。これは…大きいですね。キノコだけで何グラム?」
(タッグ 宮本勝彦さん)「700~750グラムあると思いますね。なかなか見られないと思います。ここに来ないとないと思います」
この道およそ半世紀のベテラン!宮本勝彦さんは、本州産の価格の安いマイタケに負けないよう、大きさにこだわったマイタケづくりに手間を惜しみません。
(タッグ 宮本勝彦さん)「量的にもなかなか増やすことが厳しいので、少しでも価格を維持し高くできればと。良いものをできるだけ作るようにしています。食べておいしいもの、歯ごたえの良いものを目指して作っています」
2025年にオープンしたばかりの愛別町のレストランでは、はやくも宮本さんのマイタケを使った「きのこラーメン」が人気に!
(来店客)「うん、おいしい。マイタケがたっぷり」
マチの内外からの来店客を呼び込む、まさに“看板メニュー”です。
(森のごはんや 榎本和政さん)「最初に見た目が衝撃的で、大きさが。愛別はもちろんマイタケが有名ですし、使わない手はないなと思って。うま味が結構ありますね。キノコの食感と、噛めば噛むほどうま味が出てくるような感覚を味わってほしいですね」
道内の生産者は大きく減少傾向
多様な戦略が広がる一方で、道産キノコの「気がかりなデータ」の存在が。
道内のキノコの生産者は大きく減少傾向。
(道林業木材課 外山義朗課長補佐)「個人経営の方の高齢化や、後継者がいないという部分で、生産縮小の動きが広がっています」
そこで、生き残りを図ろうと強みを磨き上げようとする生産者も現れているのです。
(道林業木材課 外山義朗課長補佐)「コスト高に耐えられないという部分もあると思いますので、スケールメリットを生かすという対策を講じている方もいらっしゃる。中には付加価値を高めるような努力をして、ちょっと他と違うものを作ろうと努力している方もいらっしゃいますね」
「効率化の追求」「大きさへのこだわり」「希少種の栽培に挑戦」
道産キノコの生産者「秋の味覚」に秘められた三者三様の生き残り戦略です。
