ゲスト出演
12月26日放送「介護保険サービスを受けるには?」
2021年12月26日(日)
12月26日放送「介護保険サービスを受けるには?」
※ゲストは先週に引き続いてH・Nメディックと提携している
「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー吉田里美さん。
山:今日のテーマは?
吉:「介護保険サービスを受けるには?」というお話です。
山:「介護保険サービスを受けるには?」ですね。先週は、「そもそもケアマネージャーって何?」ということで、ケアマネージャーのお仕事について伺いました。ケアマネージャーは、必要な介護保険サービスへとつなげる「懸け橋」としての役割を担ってくださってるという話、そして介護保険のサービスには、「訪問サービス」、「通所サービス」そしてお泊まりができる「ショートステイ」などのサービス、そして福祉用具の貸し出しや購入の補助、さらには住宅を改修する時、直す時の給付金制度など・・・本当にたくさんあって、「かるた」ですよね。それらを利用するお手伝いをして下さる専門家、それがケアマネージャーということでした。
陶:本当にいろんなことをやってくれるということでした。言葉として出てきた「架け橋」ですが、具体的にはどういった橋をかけるんでしょう?
吉:介護保険以外の制度へつなげるというのも、仕事の1つです。
山:では、私たち利用する側としては、一体どのタイミングで・・・つまり、どんな状態になったら介護保険サービスを受けることができるのでしょうか?
吉:最近は、かかりつけ医に勧められて認定を受ける方も多くなったんです。普段の状態がよく分かっている主治医から勧められると「認定を受けてみようかな」というきっかけになりますよね。医療機関も、積極的に介護に対するアプローチが増えたと感じます。介護保険の認定には、主治医が記入する「意見書」という書類も必要になるので、通院しているということが必須になります。また、認定を受けるきっかけになるのは、普段できていたことに時間がかかるようになった・億劫になってきた、またはできなくなってしまったと感じる時です。単に、「足腰が弱ってきた」と言っても、対象になるかどうかは訪問調査を受けてみないと分からないんです。・・・ですが、目安としては行動や生活にどれくらい支障があるのかということです。それにより一人でできていた動作に対して周囲からの助けが必要になった、家族の手を借りることが増えた、などそこがポイントになります。
陶:本当にそこがポイントなんですよ。介護の必要性の程度というのは、他者=自分ではない誰かの助けがどの程度必要なのか、自分以外の人間の時間・労力をどれくらい貰わないと生活ができないか、ということなんですよね。吉田さんがこのあとで訪問調査の話をしてくれるとは思うんですが、私、ここでちょっと言っておきたいことがあるんです。それは、「できないことは、できない」って言ったほうがいい!ってこと。「頑張ればできると思う」っていうのは「できない」とみなしましょうよ、というのは私の提案なんですが。どうですか吉田さん?
吉:そのとおりだと思います。訪問調査では、74個の細かな項目に関して調査員による質問や実際に動作を見て確認するという方法を取っています。ほんの数十分、初めて会う方の動作確認ですから、本当に限られた時間での観察になります。ですから、普段本当はできていないことでも調査員の前では良いところを見せようと張り切ってしまう方も少なくないんです。普段どおりの状態を見せていただかないと、正確な認定結果を得られないことになりかねませんので、できれば普段の状況を良く知っているご家族などに同席をしてもらい、同席した方からの聞き取りもできると、より正確な認定結果が得られるんです。
陶:実は私、その認定調査に家族として同席したことあるんです。そのなかで「爪、切れますか?」っていう質問を受けたときのこと。私は内心、「前かがみになるのはとても辛そうだし、足の爪を切るのはつらいだろうなあ・・・できないよなあ・・・」って思って黙って見てたら、家族は「切れます」って答えるんです。私が「切ろうと思えば、ね?」って言ったら、家族は「いや、切れるよ」って。もうそこからは押し問答で。「でも切るのつらいでしょ?」→「つらいよ。でも切れるよ」って。ああ、難しい!って思いました。
吉:調査員の聞き方もやはりあるといいますか、誘導してはいけないですしね。
陶:あぁ、そうですか。なるほどね。
山:そうですよね。「できないなら、言ってくださいね」みたいな感じで誘導するのもよくないからやっぱり、本人だけじゃなくて見守っているご家族からの情報も大切になってくるんですね。
吉:大切ですね。
山:とにかく、普段どおりにその姿をお伝えすることが大切なんですね。
吉:そうですね。また、重度の疾患があるからといって、介護度が重くなるとはかぎらないんです。自分で支障なくできているのであれば、それが認定結果に反映されることになります。あくまで生活にどのような支障が生じているか、がポイントなんです。
陶:難しいですよこれ。支障って人によって定義違いますもんね。
吉:そうですね。「介護保険って何?」「自分にはまだ関係ない」と思っている方が多いと思います。ですが、利用してみて「もっと早く知っていればよかった!」という方が大勢います。必要な方が、必要な分だけサービスを利用することは当然の権利なんです。まずは、予防の段階から「いざという時のために知っておく」ということが重要なんです。
山:実際、ケアマネージャーにはどのような相談が多いですか。
吉:生活の中でも、移動能力に支障が出たときですね。自分でトイレに行けないとなると、誰かの手を借りることになりますよね。本当に困った状況になって、初めて相談してくるということは多くあります。すぐに入院できればよいのでしょうけど、入院するまでもない状態と判断されてしまうと、実際の日常生活にはかなりの支障が出るんです。トイレ以外にも「食事は?」「お風呂は?」「歯磨きは?」という風に、数珠つなぎに不便が生じるんです。ひとり暮らしだと特にですよね。
山:「入院するまででもないんだよね」っていうところがポイントですよね。
吉:そのとおりです。ほかに、本人はできていると思っていることが周囲から見るとできていないと感じることが多くなると、家族が不安になって相談に来ます。特に、今の季節などはストーブの管理に支障が出てくると、火事の心配があったり、お薬をきちんと飲めていなくて体調不良になる、なんてことが相談をきっかけになることもあります。
山:実際に「ケアマネージャーに相談したい」「ケアマネージャーに会いたい」っていうときに、どうやって捜せばいいんですか。
吉:利用方法は、まず、市区町村の介護保険課の窓口で申請を行います。
陶:役所ですか?
吉:そうです。役所の介護保険課の窓口です。そして、訪問調査員によるご自宅での訪問調査を経て介護認定を受けます。ここまでが約1か月程度かかるんです。そして、認定結果によってケアマネージャーに依頼をします。介護保険課には、ケアマネージャーが所属する事業所の一覧があります。その中からご利用者ご本人やご家族に選んでいただけます。多くの方がどこにすればいいのか分からないと迷うと思いますが、ご自宅の近くの事業所や、かかりつけの病院と提携している事業所に決める方が多いです。ほかに、地域包括支援センターといって、お住まいの地域に必ず設置されている、介護・保健・医療・福祉の総合的な相談窓口がありますので、そちらへ連絡して相談される方もおります。
山:それは安心ですね。「地域包括支援センター」ですね。
吉:そうです。いずれにしても、まずはケアマネージャーに相談する事で一連の作業を全て代行してくれます。手っ取り早いのは「相談すること」です。そして、相談料がかかるのではと心配される方もいると思いますが、ケアマネージャーに対する費用は、みなさんのご負担は一切ありません。
陶:すごい、この手厚さ。聞いていて、日本っていい国だな~と思っていました。・・・そろそろお時間のようですが、最後に吉田さん、これだけは!というメッセージはありますか?
吉:皆さんにとって、本当に何気ない日常生活が何よりも大切であると感じております。もちろん、健康であることは一番の目標ではありますが、普段できていたことができなくなってしまったとき、特に移動に関して支障が生じたときは、大変ダメージが大きいのではないかと私の経験上感じています。まずは、私たちを身近な相談窓口として活用していただきたいです。介護保険以外の制度にもつなげていけますし、何か制度を利用するにしても、きっかけとなる「1番の窓口」になりたいと考えています。
山:先週、今週とH・N・メディックと提携している「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー・吉田里美さんをお招きいたしました。
吉田さん、貴重なお話をありがとうございました。
陶:ありがとうございました。
吉:ありがとうございました。
「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー吉田里美さん。
山:今日のテーマは?
吉:「介護保険サービスを受けるには?」というお話です。
山:「介護保険サービスを受けるには?」ですね。先週は、「そもそもケアマネージャーって何?」ということで、ケアマネージャーのお仕事について伺いました。ケアマネージャーは、必要な介護保険サービスへとつなげる「懸け橋」としての役割を担ってくださってるという話、そして介護保険のサービスには、「訪問サービス」、「通所サービス」そしてお泊まりができる「ショートステイ」などのサービス、そして福祉用具の貸し出しや購入の補助、さらには住宅を改修する時、直す時の給付金制度など・・・本当にたくさんあって、「かるた」ですよね。それらを利用するお手伝いをして下さる専門家、それがケアマネージャーということでした。
陶:本当にいろんなことをやってくれるということでした。言葉として出てきた「架け橋」ですが、具体的にはどういった橋をかけるんでしょう?
吉:介護保険以外の制度へつなげるというのも、仕事の1つです。
山:では、私たち利用する側としては、一体どのタイミングで・・・つまり、どんな状態になったら介護保険サービスを受けることができるのでしょうか?
吉:最近は、かかりつけ医に勧められて認定を受ける方も多くなったんです。普段の状態がよく分かっている主治医から勧められると「認定を受けてみようかな」というきっかけになりますよね。医療機関も、積極的に介護に対するアプローチが増えたと感じます。介護保険の認定には、主治医が記入する「意見書」という書類も必要になるので、通院しているということが必須になります。また、認定を受けるきっかけになるのは、普段できていたことに時間がかかるようになった・億劫になってきた、またはできなくなってしまったと感じる時です。単に、「足腰が弱ってきた」と言っても、対象になるかどうかは訪問調査を受けてみないと分からないんです。・・・ですが、目安としては行動や生活にどれくらい支障があるのかということです。それにより一人でできていた動作に対して周囲からの助けが必要になった、家族の手を借りることが増えた、などそこがポイントになります。
陶:本当にそこがポイントなんですよ。介護の必要性の程度というのは、他者=自分ではない誰かの助けがどの程度必要なのか、自分以外の人間の時間・労力をどれくらい貰わないと生活ができないか、ということなんですよね。吉田さんがこのあとで訪問調査の話をしてくれるとは思うんですが、私、ここでちょっと言っておきたいことがあるんです。それは、「できないことは、できない」って言ったほうがいい!ってこと。「頑張ればできると思う」っていうのは「できない」とみなしましょうよ、というのは私の提案なんですが。どうですか吉田さん?
吉:そのとおりだと思います。訪問調査では、74個の細かな項目に関して調査員による質問や実際に動作を見て確認するという方法を取っています。ほんの数十分、初めて会う方の動作確認ですから、本当に限られた時間での観察になります。ですから、普段本当はできていないことでも調査員の前では良いところを見せようと張り切ってしまう方も少なくないんです。普段どおりの状態を見せていただかないと、正確な認定結果を得られないことになりかねませんので、できれば普段の状況を良く知っているご家族などに同席をしてもらい、同席した方からの聞き取りもできると、より正確な認定結果が得られるんです。
陶:実は私、その認定調査に家族として同席したことあるんです。そのなかで「爪、切れますか?」っていう質問を受けたときのこと。私は内心、「前かがみになるのはとても辛そうだし、足の爪を切るのはつらいだろうなあ・・・できないよなあ・・・」って思って黙って見てたら、家族は「切れます」って答えるんです。私が「切ろうと思えば、ね?」って言ったら、家族は「いや、切れるよ」って。もうそこからは押し問答で。「でも切るのつらいでしょ?」→「つらいよ。でも切れるよ」って。ああ、難しい!って思いました。
吉:調査員の聞き方もやはりあるといいますか、誘導してはいけないですしね。
陶:あぁ、そうですか。なるほどね。
山:そうですよね。「できないなら、言ってくださいね」みたいな感じで誘導するのもよくないからやっぱり、本人だけじゃなくて見守っているご家族からの情報も大切になってくるんですね。
吉:大切ですね。
山:とにかく、普段どおりにその姿をお伝えすることが大切なんですね。
吉:そうですね。また、重度の疾患があるからといって、介護度が重くなるとはかぎらないんです。自分で支障なくできているのであれば、それが認定結果に反映されることになります。あくまで生活にどのような支障が生じているか、がポイントなんです。
陶:難しいですよこれ。支障って人によって定義違いますもんね。
吉:そうですね。「介護保険って何?」「自分にはまだ関係ない」と思っている方が多いと思います。ですが、利用してみて「もっと早く知っていればよかった!」という方が大勢います。必要な方が、必要な分だけサービスを利用することは当然の権利なんです。まずは、予防の段階から「いざという時のために知っておく」ということが重要なんです。
山:実際、ケアマネージャーにはどのような相談が多いですか。
吉:生活の中でも、移動能力に支障が出たときですね。自分でトイレに行けないとなると、誰かの手を借りることになりますよね。本当に困った状況になって、初めて相談してくるということは多くあります。すぐに入院できればよいのでしょうけど、入院するまでもない状態と判断されてしまうと、実際の日常生活にはかなりの支障が出るんです。トイレ以外にも「食事は?」「お風呂は?」「歯磨きは?」という風に、数珠つなぎに不便が生じるんです。ひとり暮らしだと特にですよね。
山:「入院するまででもないんだよね」っていうところがポイントですよね。
吉:そのとおりです。ほかに、本人はできていると思っていることが周囲から見るとできていないと感じることが多くなると、家族が不安になって相談に来ます。特に、今の季節などはストーブの管理に支障が出てくると、火事の心配があったり、お薬をきちんと飲めていなくて体調不良になる、なんてことが相談をきっかけになることもあります。
山:実際に「ケアマネージャーに相談したい」「ケアマネージャーに会いたい」っていうときに、どうやって捜せばいいんですか。
吉:利用方法は、まず、市区町村の介護保険課の窓口で申請を行います。
陶:役所ですか?
吉:そうです。役所の介護保険課の窓口です。そして、訪問調査員によるご自宅での訪問調査を経て介護認定を受けます。ここまでが約1か月程度かかるんです。そして、認定結果によってケアマネージャーに依頼をします。介護保険課には、ケアマネージャーが所属する事業所の一覧があります。その中からご利用者ご本人やご家族に選んでいただけます。多くの方がどこにすればいいのか分からないと迷うと思いますが、ご自宅の近くの事業所や、かかりつけの病院と提携している事業所に決める方が多いです。ほかに、地域包括支援センターといって、お住まいの地域に必ず設置されている、介護・保健・医療・福祉の総合的な相談窓口がありますので、そちらへ連絡して相談される方もおります。
山:それは安心ですね。「地域包括支援センター」ですね。
吉:そうです。いずれにしても、まずはケアマネージャーに相談する事で一連の作業を全て代行してくれます。手っ取り早いのは「相談すること」です。そして、相談料がかかるのではと心配される方もいると思いますが、ケアマネージャーに対する費用は、みなさんのご負担は一切ありません。
陶:すごい、この手厚さ。聞いていて、日本っていい国だな~と思っていました。・・・そろそろお時間のようですが、最後に吉田さん、これだけは!というメッセージはありますか?
吉:皆さんにとって、本当に何気ない日常生活が何よりも大切であると感じております。もちろん、健康であることは一番の目標ではありますが、普段できていたことができなくなってしまったとき、特に移動に関して支障が生じたときは、大変ダメージが大きいのではないかと私の経験上感じています。まずは、私たちを身近な相談窓口として活用していただきたいです。介護保険以外の制度にもつなげていけますし、何か制度を利用するにしても、きっかけとなる「1番の窓口」になりたいと考えています。
山:先週、今週とH・N・メディックと提携している「ケアプランセンターかるた」の主任ケアマネージャー・吉田里美さんをお招きいたしました。
吉田さん、貴重なお話をありがとうございました。
陶:ありがとうございました。
吉:ありがとうございました。