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●エンゼルス大谷翔平選手がオールスターファン投票で全体トップ　中間発表

【6時台】
M「オンリー ロンリー グローリー/ BUMP OF CHICKEN 」

【7時台】
M「アラウンド・ザ・ワールド/フランク・シナトラ」

八幡淳ならではの目線と感覚で
臨場感（プレゼンス）あふれるスポーツの話題をお伝えしています。

今回は　「　女子個人初のオリンピック4連覇～伊調馨～　」

6月13日はレスリング63ｋｇ級金メダリスト、伊調馨さん39歳のお誕生日。
全盛期はとにかく無敵の強さを誇っていた伊調さん、実は現時点でも「引退」は表明しておらず、
所属しているALSOKレスリングのHPにも「コーチ兼選手」の肩書で掲載されています。

伊調さんは1984年6月13日、兄の寿行さん、姉の千春さんに続く3番目の二女として
青森県八戸市に生まれます。
兄と姉の影響から青森県の八戸クラブでレスリングを始め、
八戸市立長者中学校在学中には全国女子中学生選手権で2連覇を達成、
早くから大器の片鱗を見せ始めます。
中学卒業後は愛知県の中京女子大学附属高校（のちの至学館高校）へ進学。
さらに女子レスリングの強豪校として知られる中京女子大学（のちの至学館大学）へと進学。
実はこの頃は63kg級ではなく、56 kg級にエントリー、ただそこでライバルとして君臨していたのが
2つ年上の霊長類最強女子こと吉田沙保里さん、この階級の時代は苦戦しましたが
63 kg級に階級を上げてからは無敵の存在となっていきます。

最強伝説の始まりは大学在学中に出場した2004年のアテネオリンピックから、
48ｋｇ級代表の姉の千春さんと共に姉妹で出場。
千春さんは銀メダルに終わりましたが、「千春のためにも必ず勝つ」と奮起、見事金メダルを獲得。
獲得後のインタビューでは「千春と一緒に取った金メダルです」と喜びを語りました。
更に2008年の北京オリンピックに再び姉妹で出場。姉の千春さんはまたも銀メダルを獲得。
そして、馨さんはこの大会でも金メダルを獲得、
2連覇を果たし2大会連続で姉妹同時メダル獲得となりました。

大会後の8月18日の記者会見では姉妹揃って現役引退することを表明しましたが、
帰国後、引退表明を撤回。約1年間のカナダ留学などをへて静養後、2009年に復帰。
2010年には3大会ぶりに出場した世界選手権で6度目の優勝も果たしています。
紆余曲折を経て出場した2012年のロンドンオリンピックでも金メダルを獲得、
日本の選手としては野村忠宏さんに次いで2人目、日本女子選手としては初めてとなる
同一競技におけるオリンピック3連覇を達成しました。
更に翌、2013年の世界選手権では全試合テクニカルフォール勝ちで優勝。
新たに58 kg級で挑んだ2014年の世界選手権では、
決勝でロシアのワレリア・コブロワを10－0で破るなど全試合テクニカルフォール勝ち、
世界大会実に12度目の優勝も飾っています。

2015年8月の世界選手権では、決勝でフィンランドのペトラマーリト・オッリさんを
10-0で破るなど全試合無失点のテクニカルフォール勝ちで、
世界大会13度目の優勝も成し遂げています。
これにより12月に行われる全日本選手権に“出場さえ”すれば、規定で
リオデジャネイロオリンピック代表に内定することになっていましたが、
そこでも全力で戦い通算12度目の優勝を飾る無双状態となります。
これを経て出場した2016年のリオデジャネイロオリンピック決勝では
ロシアのワレリア・コブロワさんを終了間際に3－2で逆転勝ちしてオリンピック4連覇。

ちなみにオリンピック個人種目4連覇は史上7人だけ。
・セーリング・フィン級4連覇・・パウル・エルブストロームさん
・陸上・円盤投4連覇・・アル・オーターさん
・陸上・走り幅跳び4連覇・・カール・ルイスさん
・セーリング・フィン級4連覇・・ベン・エインズリーさん
・競泳・200m 個人メドレー4連覇・・マイケル・フェルプスさん
・レスリング・130㎏級4連覇・・ミハイン・ロペスさん

そして、伊調馨さんの7人ですが、女性では伊調馨さん一人だけ。
世界のどの女性アスリート現在までもなしえていないのがオリンピック4連覇。
2001年から2018年までの18年間に国内外で獲得したオリンピックを含めた大会優勝回数34回！
同世代の「霊長類最強女子」こと吉田沙保里さんは女子レスリング個人で世界大会16連覇、
個人戦206連勝を記録し2012年には13大会連続世界一で
ギネス世界記録認定されるという記録を作ったことで有名ですが、
この連勝記録という意味で伊調馨さん全く引けを取りません。
2007年5月のレスリングアジア選手権で、太腿の怪我で不戦敗となったのを除くと、
実際に試合をして敗北したのは2003年5月のサラ・マクマンさんとの試合まで遡らなければなりません。
この敗戦以来2014年の世界選手権まで実に172連勝。2014年からは25戦連続無失点・・
負けないどころか相手にポイントさえ奪わせないという無類の強さを誇ります。
そして、2016年1月29日にロシアで行われた国際大会決勝で、
モンゴルのプレブドルジ・オルホンさんに0-10の大差で
テクニカルフォール負けを喫するまでの連勝記録は、実に189！

なぜ、これほどまでに伊調馨さんは強いのか・・
それを証明するようなインタビューが過去にありました。

1.メンタルトレーニングはしていない
「心技体の中で心が一番大事というし、経験からも最後はそれが大事とは分かっている。
しかし、体力と技術で補えると思っていて、心の前に鍛えるべきところがたくさんある。」
2.モチベーションは常に高い
「練習をしていると、日々課題と反省が生まれ、明日やることが決まるから。」、
つまり明日の目標があって、そこに向かっている限り
モチベーションなんて落ちない・・ということなんだそうです。
3.負ける怖さがなくなった
小さいころコーチから・・「俺は勝ち負けで怒らないから。
俺が怒るのは練習してきたことをやらなかった時だ」と言われてから負ける怖さがなくなったそう。
これを聞き「勝つ」という目的から「練習でやったことを出す」というように目的が変化したそうです。
4.衝撃を受けて、新世界を見る。
オリンピック２連覇後、引退発表もしましたが、男子の合宿に参加した際に
男子のレベルの高さに衝撃を受けたということで
「ここでやれば自分のレベルがアップするだろうという新世界が見えて、
それからはレスリングを極めよう、と思うようになった」そうです・・。
それが引退を撤回した理由です。
5.言葉で説明できるようになりたい
その根拠は「コーチの言い方は人それぞれ。だから一人のコーチに教わるより、
たくさんの教え方を聞いて、自分に合う方法を見つけた方がいい。」

さすがは、史上24人目の国民栄誉賞の受賞者、
昨年2022年9月9日には世界レスリング連合（UWF）の殿堂入りした人物です。
彼女の強さにはたどり着いた境地がある・・
この境地に達するアスリートが出てくるまで、
オリンピック4連覇に並ぶ選手は出てくるのでしょうか。