LIVE HOUSE タムラジオ

第63回“DoYou名言集”

2020年8月22日(土)

「俺は基本的に笑われるのが好きなんだよな」by志村けん

今日はバカ殿、あるいは変なおじさんでお馴染み
志村けんさんの言葉です。

お笑いをやる人の間で「“笑われる”ではなく“笑わせる”のが芸」という言葉があります。
なんとなく聞いた事がある人もいると思いますが。
お笑いをやる人にとっては1つの真実であり心構えでもあるように感じます。
それに対して俺は“笑われるのが好き”という志村さん。
一聴するとこの言葉は“笑わせるのが芸”という言葉と対になってるような感じがするんです。
笑わせるのが芸、対、笑われるのが芸。
どちらも芸に対する心構えを言葉にしたような、そんな気がするんですけど。
でも、僕は実はこの言葉、対ではないと思うんですよ。

志村さんはこう語ります。
「俺は基本的に笑われるのが好きなんだよな。
トークとかで人を笑わせるとかじゃなくて、自分が笑われるのが好きなんだ。
笑いを出してそれに対して笑われるのが好きなんだよな。」

これを聞くと志村さんも笑わせようとはしてるんですけどね。
ただ最終的には自分が笑われる形が好きだっていう事ですよね。
僕がこの笑われるのが好きなんだよなという言葉から感じるのは
志村さんのシャイな部分、人柄っていうのかな。
それが端的に表れていて志村さんかっこいいなって思うんです。

僕は子供の頃からドリフが大好きでドリフでめちゃくちゃ笑っていた記憶があります。
テレビも見ていたし、家族全員で8時だよ全員集合の
公開生放送を見にいったりもしていました。
でもその後にやっていた後番組をやっていたのを見て、すごい怖いと思ったんですよ。
コントをやっていない志村さんは声のトーンも3段階くらい低いし
目も笑ってないしすごく淡々としていて。
今思えばおそらくそれが素の志村さんで普段はすごく冷静な人なんじゃないかなと思うんです。
だから笑わせてる自分というものがあるとすごく冷めてきちゃう。
で、なんか恥ずかしいなと思っちゃう人だったんじゃないかなと思うんです。
お笑いってのはそんな偉そうなものじゃないんだよという気持ちもあったような気もします。

更に言えばそういう笑わせてるみたいなロジカルな部分をぶっ壊すのが
志村さんが思うお笑いだったんじゃないのかなと思ったりするんです。
で、そういう事を言葉でいちいち説明するのもやっぱり恥ずかしい事で
だから冷静な自分もぶっ壊してあるいは別のものに変化させて笑わせるってことも
笑われるってことで包んでお笑いをやっていたんじゃないかなってことを
志村さんの「俺は基本的に笑われるのが好きなんだよな」という言葉から感じました。
とっても自分に誠実な人だったんだなと思います。

 
今日聞いていただくのはジャズです。久しぶりに買ったレコードの中から聞いてください。

 

M「Milestone」(Walter Bishop Jr.

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