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●岸田総理　東南アジア３か国の歴訪終える
●韓国大統領就任式　岸田総理の出席は見送り
●山梨県道志村で発見の人骨　個人特定できず
●詐欺未遂で東区の男を逮捕
●泥酔した男がタクシー運転手に暴行
●４月の消費動向調査発表
●北広島市で住宅火災

●きょうの大リーグ試合途中経過
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●レバンガ　特別指定選手・松下裕汰選手と来季契約

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八幡淳ならではの目線と感覚で
臨場感（プレゼンス）あふれるスポーツの話題をお伝えしています。

今回は『　メジャーのパイオニア野茂英雄と日本人メジャーリーガー　』

現在あさミミ！でもほぼ毎日お伝えしているのがエンゼルスの大谷翔平選手
カブス鈴木誠也選手・パイレーツ筒香嘉智選手の活躍の話題。
今では日本で活躍した後にメジャーに挑戦するという流れは
ポスティング・FAなどの制度を利用して比較的スムーズに行われますが、
その昔はまず「メジャー」という選択肢自体が無かった時代が長く続いていました。
その流れが変わったのが、今から27年前の1995年の5月2日です。

この日、ロサンゼルスドジャースの公式戦マウンドに登ったのが
日本人メジャーリーガーのパイオニアと言われる野茂英雄さんです。
野茂英雄さんは1968年8月31日大阪府大阪市出身の右投げの投手です。
中学までは目立った成績を残すような選手ではありませんでしたが、
大阪府立成城工業高校に進学すると2年生からエースとなり、
3年時には地区大会ベスト16の成績をおさめます。
高校卒業後は大学には進まず社会人新日鉄堺へ。
この頃になると独特の体をひねる、のちに名付けられる「トルネード投法」で頭角を現し、
2年目には都市対抗野球にチームを導き、その実力から当時はまだノンプロメンバーで
構成されていた1988年のソウルオリンピック日本代表に選ばれます。

この時のメンバーが後のプロ野球をにぎわす古田敦也さんや潮崎哲也さん、
野村謙二郎さんなど超豪華なメンバーで結果は銀メダル。
それを受け行われた平成初のドラフト会議ではいまだに破られていない記録が
実に史上最多の8球団から1位指名を受け、抽選で引き当てた近鉄バファローズに入団。
その近鉄では開幕後なかなか勝星に恵まれませんでしたが、
1990年4月29日のオックス戦では17奪三振でプロ初勝利を完投でかざると、
1年目からエース格の活躍を見せ結局シーズン終了時には18勝8敗、
防御率2.91で「最多勝利」・「最優秀防御率」・「最多奪三振」・「最高勝率」の投手四冠を独占。
その他「ベストナイン」・「新人王」・「沢村栄治賞」・「MVP」にも輝き、
8つの栄冠を手にするというスーパールーキーでした。

その後も野茂さんの活躍は続き、なんと新人から4年連続最多勝、4年連続最多奪三振をマーク。
名実ともに球界のエースとして君臨し続けました。しかし、野茂さんに転機が訪れたのは1994年。
シーズン途中で右肩痛を発症し新人の頃から続いていた連続最多勝、最多奪三振も途切れ、
この年8勝7敗と好成績を収めることができませんでした。
そして問題が起きたのはこの年のオフです。
契約更改の席上で「代理人交渉」を要求したもののケガによる成績不振を理由に拒否されたり、
その他首脳陣や球団に対して様々な確執があり、
結果的に近鉄球団は野茂さんが近鉄でプレーする意思を表明しない限り、
トレードや自由契約ではなく「任意引退」として扱おうとします。
自由契約を認めないということは、他球団でのプレーは出来ない・・
つまり日本球界から「追放」に近い形を取り、制裁しようとしたともとれる措置でした。

結局、近鉄退団という選択をし、活躍の場を求めてメジャーに挑戦しようとした野茂さんに待ち受けていたのは
各方面からのバッシングでした。
新聞や球団、プロ野球OBなどから「態度が悪い」「既に肩は壊れてる」「メジャーで通用するわけがない」
「すぐに逃げて帰ってくる」「勘違いで自意識過剰」「生意気」などなど。
ただ、野茂さんはそれらの批判に対して一言も反論せず、
沈黙を貫いたまま黙々とメジャーからの契約を待ち続けます。
そして、ついに翌1995年2月にロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結びます。
年俸は近鉄時代の1億4000万円から980万円。それでも記者会見では笑みを浮かべ、
「みんなに憧れられる選手になりたい。でも自分はこれから続く人のためにも失敗はできない」と抱負を述べ、渡米。
そして、ついに5月にはメジャーへ昇格、1995年5月2日、
村上雅則さん以来31年ぶり2人目の日本人メジャーリーガー誕生となりました。
ちなみに、一人目の村上さんは、野球留学で行った際に
たまたまサンフランシスコ・ジャイアンツの目に留まったという経緯で、
野茂さんの状況とは少し違う部分があります。
そして、その不退転の決意でメジャーリーガーとなった野茂さんは1年目に13勝6敗防御率2.54、236奪三振で
見事最多奪三振と新人王を獲得。人生で2度も新人王を獲得するという野球界初の選手となりました。

この野茂さんの活躍がもたらした最大の功績は「日本野球とメジャーの距離感」です。
今まではオフに日米野球で来日したメジャーの選手たちにいい試合をしても
「どうせ本気じゃないから」など互いのレベルを計ることができなかったのですが、
日本でも活躍した野茂さんがアメリカでも活躍出来るなら、「自分も」と思う選手が出てくるわけです。

次にメジャーに挑戦したのが1996年オフ当時千葉ロッテマリーンズに所属していた伊良部秀輝さん。
ところが、伊良部さんの移籍もまた物議をかもします。
伊良部さんのメジャー挑戦に対する熱意を受け、ロッテはパドレスと交渉、
2選手と伊良部さんの交換トレードをまとめますが、伊良部さんはあくまでもヤンキースとの契約を熱望、
代理人を通してパドレスへの入団を拒否して、日米球界を巻き込む騒動となります。
結局パドレスは、2人の選手プラス金銭を交換条件に
伊良部さんの保有権をヤンキースにトレードすることに合意。
パドレスとヤンキースの間で伊良部さんを含む2対2のトレードが成立。
最終的に三角トレードという形でヤンキースに入団。
この一件で他のMLB球団から機会均等を求める声が上がり、
皮肉にもポスティングシステムの確立に繋がります。

その後、1997年には佐々木朗希投手の師匠ともいえる
吉井理人千葉ロッテマリーンズピッチングコーディネーターが日本人選手初のFAでメジャーへ移籍。
この吉井さんも近鉄時代の同僚野茂さんに影響を受けました。
既に33歳でベテランの域に差し掛かっていた吉井さんでしたが、
2年目に12勝8敗を上げたことで日本人選手の評価も高まり、野手では2000年オフにイチローさんがポスティングで、
同時にBIGBOSSこと新庄剛志さんがFAで共にメジャー移籍し成功を収めたことで、
以降日本人選手の評価は確固たるものとなりました。

いずれの成功も本当に素晴らしいものですが、野茂さんのチャレンジなしには恐らくあり得なかったことでしょう。
「自分はこれから続く人のためにも失敗はできない」との抱負を残し海を渡った野茂さん。
この精神があったからこその今の日本人メジャー選手の活躍がるといっても過言は無いでしょう。